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キャンパスライフ2016.12.14

2016年度 法学部政治学科主催 政治講演会

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・はじめに
 今年度は皆様のお力をお借りして、白金祭二日目の11月2日(水)に四年ぶりに政治講演会を開催することができました。まず、ご協力してくださった全ての方へ厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

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 講演会には、日本維新の会から足立康史衆議院議員、日本共産党から小池晃参議院議員、民進党から前原誠司衆議院議員がお越しくださいました。ご登壇いただきありがとうございました。また各政党職員の方のご協力にも深く感謝いたします。

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 単に高名な政治家の話を拝聴する会ではなく、何か価値のある会をしたいと考えを巡らすうちに、「なぜ野党は弱いのか」を論題に据え野党の政治家を複数名お呼びしようと思いつきました。
 あくまでたとえ話ですが、もし日本という患者が一党支配という慢性病に罹っていたとして、その病状が一向に良くならないのであれば、批判の矛先が野党という薬の無力さに向けられてもよいのではないか、こういう考えのもとに私たちは出発しました。
 私たちのこのような疑問を実際の野党政治家はどう考えているか尋ねてみよう。それも立場の違う政党からそれぞれ先生方をお招きして、都合の良い事ばかり言いにくい状況の中で、比較してみたいと企画しました。
 また学生が実際にどのような考えを政治に抱いているか意識調査を行い、一年生から三年生の政治学科の授業内で実施し189名から有効回答をいただけました。そこで得たデータをもとにパネルディスカッションでの質問を作成しました。

 ここにパネルの概要を示します。より詳しくは、動画をご覧ください。

・パネルの概要
問 政治が変わってほしいという声が多いにもかかわらず、『支持政党なし』という回答が多く、野党が受け皿となれないのはなぜか
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 今の政治が大きく変わってほしい、ある程度変わってほしいと全体の90.5%の学生が答えた。変わってほしいと答えた学生の支持政党が上のとおりである。

小池氏:野党が分散していると、票も分散する。野党共闘により、票を一つにまとめる必要がある。野党が何を目指すのか示し、票を無駄にしないような政党になる必要がある。

足立氏:社会的分断が大きくない日本では、支持政党なしは問題でない。一方で自民党の一党支配のなか、争点をだすことが野党の責務である。また野党が弱い理由としてマスコミの報道にも問題はある。大阪では維新と自公によって二大政党制は完成している。

前原氏:民主党時代の政権交代で有権者の期待にこたえられず、むしろ支持政党なし層を増やしてしまった。その反省を踏まえて、どういった国を目指すのか、党内で固めて、伝えていかなければならない。

 問 日本において、左派では「護憲と大きな政府」がセットであり、右派では「改憲と小さな政府」がセットであるという価値観があるが、それらが結びついているべきだと考えるか

前原氏:必ずしもセットである必要はない。外交では現実路線で、内政では富の再分配を行うべきだ。しかし高校の無償化などでは、親の所得によって補助金の有無などを線引きするべきではなく、すべての納税者が受益者になるようにすべきである。

小池氏:セットでよい。若者が一番求めていないのは改憲で、一番求めているのは格差の是正ではないだろうか。また野党共闘は改憲反対などある点で一致していれば良く、違いのある政党が共闘するからこそ意味がある。

足立氏:必ずしもセットである必要はない。改憲と大きな政府こそ維新の会だ。世代間格差は現代日本で見受けられる、最も大きな社会的亀裂であり、劣勢な若者や中小企業の声を代弁するのが維新の会の責務である。また自民党は東京一極集中を推し進めるので、地方分権を考える維新の会とは一線を画す。

問 政策を実行するには国家権力が必要であるが、その国家権力はグローバリズムによって抑圧されるのではないか。グローバリズムとナショナリズムのせめぎあいをどう考えるか。

前原氏:All for Allの考えのもと、ゆりかごから墓場までパッケージ化された政策を提案し、自身の税負担が自分にも還元されるような体系を目指すべきである。そして世界を取り巻く反グローバリゼーションがなぜ起こっているのかを分析し、秩序立ったグローバリゼーションを行うべきだ。

問 若者の味方なのか、お年寄りの味方なのか(前掲の質問を受けながら)

前原氏:(世代間格差による)社会的分断をなくさなければならない。お金持ちな高齢者も、お金に困っている高齢者もいる中で、適応負担を実施し必要なところにサービスが行き渡るようにすべき。

足立氏:財政は有限なので、若者にお金を回したら高齢者は切らなくてはいけいない。厳しい事を言いながらも、選挙で勝てる人気のある政党が必要だ。またグローバリズム、ナショナリズムなど0と1で物事を捉える事は間違いであり、国内外の政治あるいは経済は一つの国だけで完結するものではない。

小池氏:高齢者からお金をもらう発想は、社会的分断をより深刻化させるもので望ましくない。高齢者の消費を落ち込ませるようなことになれば、巡り巡って現役世代にも波及してくる。食糧主権を守る事は政治的立場を超え重要視されている事で、更には立憲主義のもとに新しい政治的基軸が生まれてきているのではないか。

足立氏:グローバルな取引の中で日本国民の富を増やしていく事にしか、日本の繁栄はない。聖域とは政党の票田確保のためにあるもので、聖域なきTPPこそ意義のあるものだ。賛成派のオバマ大統領の在任中に、短期間で議論を推し進める必要がある。

前原氏:TPPの議論を始めたのは民主党であり、自分はかつて担当大臣でもあった。日米による個別のFTAではなく、多国間で協定を作ろうとしてTPPができた。アメリカは自国の利益を優先するような要求ばかりしており、適切な議論が出来ていないので現在はTPP締結には反対している。

問 なぜ審議拒否をするのか、話し合いこそが民主主義の根本ではないのだろうか
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 今の政治のあり方にあまり満足していない、満足していないと回答したのは全体の59.8%である。その集団の野党に関する信頼度が上である。

小池氏:基本的に審議拒否はしない。共産党が審議拒否をするときは、よほどの事があったのだと思って欲しい。例えばTPPの審議では、自民党理事が強行採決すると失言し、農相が失言をし、農相が失言を陳謝した日に強行採決を再び行ったために審議拒否した。一方で先の国会では、74あった法律案のうち51.4%にあたる38案に賛成した。否定ばかりするイメージがあるのは、マスコミの報道にも問題がある。

足立氏:国会はあらかじめ決められたシナリオをどう演じるかという場であり、それはプロレスや吉本新喜劇と変わらない。以前は国対政治が行われておりお金も動いていた。政府案へ対案を出して審議していく事が大切だと思う。

前原氏:法案は、国会に上がる前に審議し尽くされているものだ。また審議拒否はおかしくなく、単に野党が与党のいいなりになっているのであれば、野党の存在意義はなくなるのではないだろうか。

問 相対的に与党に期待できないから野党へではなく、野党に期待できるから野党へになるべきでは。ゼロ成長時代で、どのような長期的なビジョンがあるのか。
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 20年後自分は幸せだと思うと回答したのは全体の70.4%で、その集団の中で日本の将来は明るいと思うかが上記である。

 この後も講演会は30分程度続きますが機材トラブルのため、三者全員の回答は動画に記録されておりません。公平を期すために書き起こしはここまでとさせていただきます。

・ふりかえって
 本文をお読みいただければわかるよう、単に冗長な会に留まることなく、刺激的な会にすることができたと感じています。改めて、登壇してくださった政治家の皆様、この会に協力してくださった政治学科の先生方、大学・法学部のスタッフの皆様、白金祭実行委員会、献身的な政治講演会実行委員、そして当日会場まで足を運んでくださった皆様へと深く御礼申し上げます。
 なぜ野党は弱いのか、一つの答えにたどり着けたわけではありませんが、それでもここまで遠くへ歩みを重ねてこれたのは、皆様のお力添があったからです。

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・おわりに
 最後に、共に登壇した委員の太田くんの文章を示して終わりとさせていただきます。政治学科のさらなる発展を心より願います。                   政治講演会実行委員長 船津朗

  講演会の運営は私にとって初めての経験であり、いくつか反省点が浮き彫りとなった。ここではそのうちの二つを取りあげる。
 まず一つ目は、講演会の「進行」の意識と準備が甘かった点である。普段の会話では、相手の話を最後までよく聞いた上で応答するものだが、講演会の進行では、論点がずれたらその都度指摘することや、時間を計って相手の話を中断させる必要がある。さらに、ゲストとして議員の先生を三人呼んだので、一人実質30分ほどしかお話を聞ける時間が無いことも意識していなかった。そのため、問題の本質まで辿りつくことができなかった。限られた時間の中で根掘り葉掘り聞けるような、テンポ感を重視した進行を事前に意識し、準備をすれば良かったと思っている。
 二つ目は、先生方の考えの出発点を引き出す質問を準備しなかった点である。理想の国家ビジョンが目標だとすれば、そこに到達するための各政策は手段であり、その出発点は「幸福観」の話であると考える。量的豊かさから質的豊かさにシフトする必要のある成熟社会において、幸福観はとても大事な判断基準となる。この話を聞くことにより、各党の出発点、手段、目標が明確に一本化され、講演会がさらに引き締まったのではないか、と考える。
 重要なことは、これらの反省点を後につなげることである。2012年から途切れてしまった政治講演会を復活させ、さらには複数の先生方を呼び、根深い問題に切り込んだことはとても満足している。新しい試みが多かった分反省点は多いが、それによって事の成否は決まらない。この講演会の成否は後の代に委ねたい。
                                政治講演会実行委員 太田享甫