2019年11月12日

アデレード大学

現地での生活・異文化体験(2)

3つ目はコミュニケーションをとても大事にすることです。挨拶は言うまでもなく、家の中ですれ違うと必ず短い会話を交わします。今日はどんな日で、どんな宿題が出ていて、何時くらいにお風呂が入るのか、など、廊下の中で立ち止まって会話を交わすことも日常的にあります。疲れて寝たいときはそのことを言わないとホストファミリーは寝ていても部屋に入って会話を交わしにやってくるので、もう寝ることは確定したら就寝前の挨拶は済ませなければなりません。しかし自分の近況をいつでも伝えることがでる環境が形成されるため今何か行ったら悪いかな、など一切気遣いを必要としない、快適なコミュニケーションと生活を送れることもまた日本との違いの1つのように思えます。またYes/Noをはっきりさせることもよく求められます。例えば私の自室の部屋の掃除に入りたいのだが入ってもいいかと聞かれた時、「すぐ片付け終わるから待っていて」は通用せず、今入っていいかダメなのかはっきりとものを言わなければならないと言われました。出かけるときに用意が済んでいなくてホストファミリーに外で待っていてもらう時も、あと何分かかるかは必ず伝えることが要求されます。また自分自身のことを話すときも私は大人しい性格であると伝えましたが必ずなぜ?と聞かれます。日本の感覚ではそれが性格だから、と結論づける事も必ず原因と結果の関係で物事を掘り下げることがオーストラリアでの会話の軸となっています。

最後は移民に対してとても寛容であるということです。日本は単一民族ですがオーストラリアは多民族国家なので文化の違いを快く受け止めてくれました。日本では今でこそグローバル化が進んでいるものの多くの家庭ではホストファミリーになった経験がない家庭が多いです。一方でオーストラリアの家庭は移民との交流に慣れているため異文化交流にとても意欲的で自国とは違う文化も歓迎してくれます。例えば、私のホストマザーは子供を預かりお世話をする仕事をしているのですが、小さい子供の1人はとても日本に好感を持っていると私に伝えてくれ、遊びに何度も誘われ良い関係を持てています。子供曰く小さい頃からずっと他の移民と関わる機会が多く、自分の英語が十分に伝わらなくても気にしていないと教えてくれました。また日本のものが売っているショップでお茶を買った時は即座に興味を持って一口分けて欲しいと頼まれたことがありました。その時に日本も自国の文化の1つとして捉えているのだ、と感じました。他国の食文化を学び、自分の家庭に取り入れることがオーストラリアでは喜びとしていることを知り、移民も受け入れる側も双方の理解を深めることができるのだと思いました。

常に変化を受け入れ、それでいて自国独自の文化も栄えていることが日本とオーストラリアの大きな違いなのではないでしょうか。オーストラリア独自の文化も保持しつつ、他国の文化のあり方に寛容であるからこそ国際交流の絶好の場所として用いられるのではないかと考えます。

(終わり)(K・M)