歴代の学科主任報告

消費情報環境法学科の近況報告

大木 満

1.はじめに
本年4月より消費情報環境法学科の主任となりました大木満と申します。専門は民法です。どうぞよろしくお願い申し上げます。本学科では、今年の3月に202名(うち、2011年度生は187名)の学生が卒業し、4月には219名の学生が入学して新学期を迎えました。簡単ではございますが、本学科の近況についてご報告いたします。

2.教員体制
今年の3月で定年退職なされた黒田正明教授の代わりに、新任として酒井一博専任講師を4月より本学科に迎えることができました。東京大学出身の酒井先生は、専門は物理学(素粒子理論)で、とくに、場の量子論及び弦理論を最近の研究テーマとしているそうです。講義としては、本学科では情報処理を担当してもらっています。

したがいまして、今年度の本学科の教員スタッフは、平川幸彦教授のご逝去、黒田正明教授のご退職、酒井一博専任講師の就任があり、16名となっております。10名が法律系教員で、6名が自然科学系の教員で構成されています。

なお、今年度は、理論物理学がご専門の太田和俊准教授(本学科では情報処理担当)が特別研究(サバティカル)で、国際私法がご専門の申美穂専任講師が育児休暇にて1年間お休み中です。お二人とも来年4月より復帰する予定です。

3. 消費者法教育
本学科の特徴であります消費者法教育についての今年度の状況についてご紹介します。

(1)消費者関連のインターンシップ
本学科独自のインターシップとして、ご存じの通り、消費者関連のインターンシップがあります。机上の勉強だけではなく、インターンシップに参加して、消費生活に対する啓発活動や教育活動、消費者問題に関する情報の収集や検討会への参加、相談業務の補助など消費者実務について実際に体験をしてもらうことが目的です。2015年度は、夏休みの期間を利用して、16名(昨年度は15名)の学生が、以下のような場所で就業体験を経験することになっています。

具体的には、横浜市経済局消費経済課に1名、横浜市消費者協会に1名、川崎市消費者行政センターに3名、鎌倉市市民相談課に2名、港区立消費者センターに1名、野洲市市民生活相談課に1名、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会に3名、全国婦人会館に2名、関西消費者協会に1名、社会的包摂サポートセンター(宮城)に1名が行くことになっています。

なお、秋学期に、このインターンシップに参加した学生による報告会が開催されます。

(2)消費生活相談フォローアップ講座の開催
消費者が利用する代金決済方法が多様化し、紛争処理にあたって知識や工夫が必要なことから、本講座は、2010年から連続して「決済」をテーマに取り上げて、実務家や学生向けの公開講座として実施しています。

今年度は、10月10日(土)10時~16時に、明治学院大学の白金キャンパス2号館2階2301教室にて、午前は、公開講座「最近の決済サービスの動向と紛争解決を進める交渉の方法」として、山本正行氏 (山本国際コンサルタンツ代表・関東学院大学講師)による講演「最近の決済サービスの動向」を、午後は、パネルディスカッション「クレジットカード、電子マネーの紛争解決を進める交渉方法の事例研究-消費者側、事業者側の異文化コミュニケーション-」を企画しています。パネラーは、山本正行氏(同上)、消費者決済研究所の長谷川恭男代表、国民生活センターの小林真寿美相談情報部の3名で、司会進行は本学科角田真理子准教授が行うことになっています。

4.情報教育
本学科では情報教育も重視しています。そのため、教員免許について、中学社会・高校地歴・高校公民以外に、高校の情報に関する教員免許の取得が可能なのが特徴です。2014年度は、2名の学生が情報の教員免許を取得しました。

また、ITパスポート試験(情報の国家資格の1つ:すべての職業人が共通に備えておきたい、ITに関する基礎的知識の理解度を評価する試験)の受験を推奨しています。国家試験対策室の課外講座のITパスポートの講座などで一定の成果が上がりつつあります。

5.入学前教育
本学科においては、8年前から特別入試(指定校推薦、系列校推薦、自己推薦[AO])の合格者(手続者)について、希望者については、入学前教育を行い、早期に合格した学生への教育支援を行っております。外部に委託しないで、本学科の教員から担当者を3名選び行っているのが本学科の入学前教育の特徴です。入学前教育の内容は、国語課題と英語課題です。国語課題については課題図書を2冊指定して読ませ、それに関する設問についてレポートを書いて提出してもらい、入学前教育の特別TA(ティーチング・アシスタント)が丁寧に添削指導した上で、再度添削の指示にしたがってレポートを書き直してもらう形で行っています。今年の課題図書は、木村草太『憲法の創造力』(NHK出版)と倉重公太朗ほか『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか~労働法の「ひずみ」を読み解く』(労働調査会)でした。英語課題については、指定の問題集(『シグマ基本問題集 英文法』文英堂)に取り組んでもらい、オンラインテスト画面で解答してもらう形で実施しています。2015年度の入学前教育の受講率は、89%でした。2013年度の受講率が96%、2014年度の受講率が94%と、若干減少している点が気になりますが、国語添削については、受講生の満足度は、「非常に満足」が64%となっており、例年より上がっている点を申し添えておきます(2013年度が55%、2014年度が53%)。

6.その他
4月6日に法律学科と合同で新入生のためにフレッシャーズ研修をグランドプリンスホテル新高輪にて、6月8日には3学科合同で主として1年生・2年生を対象に卒業生講演を横浜キャンパスにて行いました。卒業生講演では、本学科の卒業生としては、本学科第一期生(2000年度生)の穂刈謙亮氏(株式会社イロコト代表取締役/WEBプロデューサー)に、主として、大学生の時どのように過ごしたか、どのようにして起業するに至ったか、今の仕事の内容などについて講演していただきました。

7.おわりに
昨年度の就職状況については、順調でした。民間企業を中心に、神奈川県庁、目黒区役所、川口市役所、茅ケ崎市役所などで公務員となる者や、中央大学法科大学院、上智大学法科大学院、早稲田大学大学院政治学研究科などへ合格・進学する者などもおりました。今後も地道に教育活動をするとともに、本学科の広報活動にも努力して行きたいと思います。白金法学会会員の皆様には、今後も引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。