歴代の学科主任報告
消費情報環境法学科の近況報告
大木満
1. はじめに
消費情報環境法学科の主任の大木満と申します。主任業務は昨年度より継続して2年目となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。本学科では、今年の3月に184名(うち、2012年度生は178名)の学生が卒業し、4月には208名の学生が入学して新学期を迎えました。簡単ではございますが、以下のように本学科の近況についてご報告いたします。
2. 教員体制
今年の3月で定年退職なされ、名誉教授となられた菅野忠教授の代わりに、新たに大阪大学大学院理学研究科講師の井頭麻子先生を4月より本学科の准教授として迎えることができました。東北大学出身の井頭先生は、専門は化学・錯体化学であり、とくに、多核金属錯体の構築と物性制御を最近の研究テーマとしているそうです。講義としては、本学科の学科科目としては「環境科学の基礎」を担当してもらっています。
結果としまして、今年度の本学科の教員スタッフは、菅野忠教授のご退職、井頭麻子准教授の就任があり、16名となっております。10名が法律系教員で、6名が自然科学系の教員で構成されています。
なお、今年度は、天文化学・計算科学がご専門の高橋順子准教授(本学科では情報処理担当)、民法・消費者法がご専門の倉重八千代准教授が特別研究で、1年間お休み中です。お二人とも来年4月より復帰する予定です。
3. 消費者法教育
本学科の特徴であります消費者法教育についての今年度の状況についてご紹介します。
(1)消費者関連のインターンシップ
本学科独自のインターシップとして、ご存じの通り、消費者関連のインターンシップがあります。机上の勉強だけではなく、インターンシップに参加して、消費生活に対する啓発活動や教育活動、消費者問題に関する情報の収集や検討会への参加、相談業務の補助など消費者実務について実際に体験をしてもらうことが目的です。2016年度は、夏休みの期間を利用して、17名(昨年度は16名)の学生が、以下のような場所で就業体験を経験することになっています。
具体的には、横浜市消費生活課・横浜市消費者協会に2名、川崎市消費者行政センターに3名、鎌倉市消費生活センターに2名、港区立消費者センターに1名、野洲市市民生活相談課に1名、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会に2名、全国婦人会館に3名、関西消費者協会に2名、社会的包摂サポートセンターに1名が行くことになっています。
なお、秋学期に、このインターンシップに参加した学生による報告会が開催されます。
(2)消費生活相談フォローアップ講座の開催
消費者が利用する代金決済方法が多様化し、紛争処理にあたって知識や工夫が必要なことから、本講座は、2010年から連続して「決済」をテーマに取り上げて、実務家や学生向けの公開講座として実施しています。
今年度は、10月8日(土)10時40分~16時に、明治学院大学の白金キャンパス2号館2階2301教室にて、公開講座「クレジットカードのセキュリティー不正使用の原因を探る」を実施します。午前には、山本正行氏 (山本国際コンサルタンツ代表・関東学院大学講師)による講演「カード不正使用の手口と原因(その1)」を、午後も連続講義として、山本正行氏および岩崎純氏(『カード・ウェーブ』編集長)による講演「カード不正使用の手口とその原因(その2)」を企画しています。コメンテーターは本学科の穴沢大輔准教授、司会進行は本学科角田真理子准教授が行うことになっています。
なお、開会前の9時15分から10時30分に、クレジットカード不正使用を報道したテレビ録画を視聴して、知識の補充を図ることになっています(6月6日のNHK『あさイチ』、6月21日の『クローズアップ現代+』)。
4.情報教育
本学科では情報教育も重視しています。そのため、教員免許について、中学社会・高校地歴・高校公民以外に、高校の情報に関する教員免許の取得が可能なのが特徴です。2014年度は、2名の学生が情報の教員免許を取得しました。2015年度は、情報の教員免許取得者はいませんでしたが、中学校一種社会が2名、高校一種公民が1名、教員免許を取得しました。
また、本学科では、ITパスポート試験(情報の国家資格の1つ:すべての職業人が共通に備えておきたい、ITに関する基礎的知識の理解度を評価する試験)の受験を推奨しています。国家試験対策室の課外講座のITパスポートの講座などで一定の成果が上がりつつあります。
5.入学前教育
本学科においては、9年前から特別入試(指定校推薦、系列校推薦、自己推薦[AO])の合格者(手続者)について、希望者については、入学前教育を行い、早期に合格した学生への教育支援を行っております。外部に委託しないで、本学科の教員から担当者を3名選び行っているのが本学科の入学前教育の特徴です。入学前教育の内容は、国語課題と英語課題です。国語課題については課題図書を2冊指定して読ませ、それに関する設問についてレポートを書いて提出してもらい、入学前教育の特別TA(ティーチング・アシスタント)が丁寧に添削指導した上で返却し、再度添削の指示にしたがってレポートを書き直してもらう形で行っています。今年の課題図書は、内田貴『民法改正―契約のルールが百年ぶりに変わる』(ちくま新書)と田中一郎 『ガリレオ裁判―400年後の真実』(岩波新書)でした。英語課題については、指定の問題集(『シグマ基本問題集 英文法』文英堂)に取り組んでもらい、オンラインテスト画面で解答してもらう形で実施しています。2016年度の入学前教育の受講率は96%でした。昨年度が89%でしたので、受講率がかなり上昇しました。国語添削について、今年度の受講生の満足度は、「非常に満足」が53%と、昨年度の64%から多少下がりましたが、例年どおりの結果といえ(2013年度が55%、2014年度が53%)、「やや満足」の25%を加味すると、78%の満足度であり、一定の成果を上げているといえましょう。
6.その他
今年度も法律学科と合同で新入生のためにフレッシャーズ研修を4月4日にグランドプリンスホテル新高輪にて行いました。上級生のSCたちが裁判例を素材に企画、出演、撮影したドラマを上映した後、グループに分かれてディスカッション等を行いました。
7.おわりに
就職状況についてですが、昨年度も順調でした。銀行・保険・証券会社などを中心とした民間企業へ就職する者、神奈川県庁、中野区役所、横浜市役所、藤沢市役所、熱海市役所、伊豆の国市役所、那珂市役所などで公務員となる者、明治学院大学院法と経営学研究科へ合格・進学する者などです。今後も地道に教育活動をするとともに、本学科の広報活動にも努力して行きたいと思います。白金法学会会員の皆様には、今後も引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。