歴代の学科主任報告

消費情報環境法学科の近況報告

大野 武

1.はじめに
2017年4月より消費情報環境法学科主任となりました大野武と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。本学科では、今年3月に168名の学生が卒業し、4月には248名(入学定員225名)の学生が入学して新学期を迎えました。簡単ではございますが、以下のように本学科の近況についてご報告致します。

2.教員体制
本年4月より高田寛先生を本学科教授として富山大学からお迎えすることができました。高田先生の主な担当科目は「グローバル企業法」です。また、法科大学院の廃止に伴い、本年4月より鈴木庸夫先生と福田清明先生が本学科教授として異動して参りました。鈴木先生の主な担当科目は「行政法」で、福田先生の主な担当科目は「債権総論」です。

その結果、今年度の本学科の教員スタッフは、19名となっております。14名が法律系教員で、5名が自然科学系の教員で構成されています。

3. 消費者法教育
本学科の特徴であります消費者法教育についての今年度の状況についてご紹介します。

(1)消費者関連のインターンシップ
本学科独自のインターシップとして、ご存じの通り、消費者関連のインターンシップがあります。机上の勉強だけではなく、インターンシップに参加して、消費生活に対する啓発活動や教育活動、消費者問題に関する情報の収集や検討会への参加、相談業務の補助など消費者実務について実際に体験をしてもらうことが目的です。2017年度は、夏休みの期間を利用して、22名(昨年度は17名)の学生が、別表のような場所で就業体験を経験することになっています。

なお、秋学期に、このインターンシップに参加した学生による報告会が開催されます。

(2)消費生活相談フォローアップ講座の開催
消費者が利用する代金決済方法が多様化し、紛争処理にあたって知識や工夫が必要なことから、本講座は、2010年から連続して「決済」をテーマに取り上げて、実務家や学生向けの公開講座として実施しています。

今年度は、9月30日(土)10時00分~16時30分に、明治学院大学の白金キャンパス2号館2階2301教室にて、公開講座「最近の決済問題の基本の理解と事例検討」を実施します。午前には、山本正行氏 (山本国際コンサルタンツ代表・関東学院大学講師)による講演「後払い式決済の基本的仕組み」と、長谷川恭男氏(決済問題研究科)による講演「前払い式決済の基本的仕組み」を行い、午後には、事例検討「最近の消費者救済トラブル事例から問題点を探る」を行います。司会進行は本学科角田真理子教授が行うことになっています。

また、本年度は、1月6日(土)にも第2回講座を実施することを予定しております。

4.情報教育
本学科では情報教育も重視しています。そのため、教員免許について、中学社会・高校地歴・高校公民以外に、高校の情報に関する教員免許の取得が可能なのが特徴です。2016年度は、1名が情報の教員免許を取得しました(なお、その他に、中学校一種社会について1件、高校一種公民について1件の教員免許が認められております)。

また、本学科では、ITパスポート試験(情報の国家資格の1つ:すべての職業人が共通に備えておきたい、ITに関する基礎的知識の理解度を評価する試験)の受験を推奨しています。国家試験対策室の課外講座のITパスポートの講座などで一定の成果が上がりつつあります。

5.入学前教育
本学科においては、10年前から特別入試(指定校推薦、系列校推薦、自己推薦[AO])の合格者(手続者)について、希望者については、入学前教育を行い、早期に合格した学生への教育支援を行っております。外部に委託しないで、本学科の教員から担当者を3名選び行っているのが本学科の入学前教育の特徴です。入学前教育の内容は、国語課題と英語課題です。国語課題については課題図書を2冊指定して読ませ、それに関する設問についてレポートを書いて提出してもらい、入学前教育の特別TA(ティーチング・アシスタント)が丁寧に添削指導した上で返却し、再度添削の指示にしたがってレポートを書き直してもらう形で行っています。今年の課題図書は、角田由紀子『性と法律―変わったこと、変えたいこと』(岩波新書)と秋山賢三『裁判官はなぜ誤るのか』(岩波新書)でした。英語課題については、指定の問題集(宇佐美一朗『発展30日完成英文法(高校初級・中級用)』(日栄社))に取り組んでもらい、オンラインテスト画面で解答してもらう形で実施しています。2016年度の入学前教育の受講率は89.5%で、昨年度の96%と比較すると、やや受講率が減少しました。

6.その他
今年度も法律学科と合同で新入生のためにフレッシャーズ研修を4月6日にグランドプリンスホテル新高輪にて行いました。上級生のSCたちが裁判例を素材に企画、出演、撮影したドラマを上映した後、グループに分かれてディスカッション等を行いました。

7.おわりに
就職状況についてですが、昨年度も順調でした。銀行・保険・証券会社などを中心とした民間企業へ就職する者、農林水産省、神奈川県庁、横浜市役所、川崎市役所、川口市役所、目黒区役所などで公務員となる者、高校の公民の教員となる者などがおります。

今後も地道に教育活動をするとともに、本学科の広報活動にも努力して行きたいと思います。白金法学会会員の皆様には、今後も引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。