歴代の学科主任報告

消費情報環境法学科の近況報告

大野 武

1. はじめに
2017年4月より消費情報環境法学科主任となりました大野武と申します。今年で2年目ですが、本年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。本学科では、今年3月に194名の学生が卒業し、4月には216名(入学定員225名)の学生が入学して新学期を迎えました。簡単ではございますが、以下のように本学科の近況についてご報告致します。

2. 教員体制
本年3月「行政法」等を担当されておりました鈴木庸夫先生が定年退職をされました。また、本年4月よりグローバル法学科が開設され、その関係で本学科から他学科への教員の異動がありました。高田寛先生と申美穂先生がグローバル法学科に、福田清明先生が法律学科に異動となりました。

その結果、今年度の本学科の教員スタッフは、15名となっております。10名が法律系教員で、5名が自然科学系の教員で構成されています。

3. 消費者法教育
本学科の特徴であります消費者法教育についての今年度の状況についてご紹介します。

(1)消費者関連のインターンシップ
本学科独自のインターシップとして、ご存じの通り、消費者関連のインターンシップがあります。机上の勉強だけではなく、インターンシップに参加して、消費生活に対する啓発活動や教育活動、消費者問題に関する情報の収集や検討会への参加、相談業務の補助など消費者実務について実際に体験をしてもらうことが目的です。2018年度は、夏休みの期間を利用して、15名(昨年度は22名)の学生が、別表のような場所で就業体験を経験することになっています。

なお、秋学期に、このインターンシップに参加した学生による報告会が開催されます。

(2)消費生活相談フォローアップ講座の開催
消費者が利用する代金決済方法が多様化し、紛争処理にあたって知識や工夫が必要なことから、本講座は、2010年から連続して、実務家や学生向けの公開講座として実施しています。

2017年度は、9月30日(土)に「最近の決済問題の基本の理解と事例検討」を実施し、また1月6日(土)に「滋賀県野洲市のくらし支えあい条例の1年間を検証する」を実施しました(前者は昨年度の会報でご紹介しましたので、今年度は後者についてのみご紹介致します)。野洲市くらし支えあい条例は、市役所の消費者行政と生活困窮者自立支援行政の2つの分野を束ねたもので、野洲市がどのような実践をしているのかついて、同市役所の市民生活相談課の生水裕美氏と久保田直浩氏にご講演頂きました。野洲市のお二人に対して、圓山茂夫氏(法学部准教授)が条例の内容と業務について尋ねていき、コメンテーターの石戸谷豊氏(弁護士)と新保美香氏(社会学部教授)が質問や解説を行うという形式で実施されました。

また、2018年度については、年明けに公開講座を実施する予定であります。

4.情報教育
本学科では情報教育も重視しています。そのため、教員免許について、中学社会・高校地歴・高校公民以外に、高校の情報に関する教員免許の取得が可能なのが特徴です。2017年度は、2名が情報の教員免許を取得しました。

また、本学科では、ITパスポート試験(情報の国家資格の1つ:すべての職業人が共通に備えておきたい、ITに関する基礎的知識の理解度を評価する試験)の受験を推奨しています。国家試験対策室の課外講座のITパスポートの講座などで一定の成果が上がりつつあります。

5.入学前教育
本学科においては、11年前から特別入試(指定校推薦、系列校推薦、自己推薦[AO])の合格者(手続者)について、希望者については、入学前教育を行い、早期に合格した学生への教育支援を行っております。昨年度から、駿台教育研究所と提携した「入学準備プログラム」を実施しています。このプログラムでは、大学における学習の基礎となる読解力と文章作成能力を養成することを目的に、「英語」および「国語」の2科目について学習を致します。英語は長文読解(2回)、国語は課題図書(福井健策『18歳の著作権入門』)の要約・記述(2回)です。提出された答案については、採点を行い、詳細な添削を行った上で返却します。このプログラムを通じて、大学入学後に必要とされる能力を高めてもらうことを目標とします。
なお、2018年度の入学前教育の受講率は83.5%で、昨年度の89.5%と比較すると、やや受講率が減少しました。

6.その他
今年度も法律学科と合同で新入生のためにフレッシャーズ研修を4月5日にグランドプリンスホテル新高輪にて行いました。上級生のSCたちが裁判例を素材に企画、出演、撮影したドラマを上映した後、グループに分かれてディスカッション等を行いました。

7.おわりに
就職状況についてですが、昨年度も順調で、就職率は97%でした。銀行・保険・証券会社などを中心とした民間企業へ就職する者、山形県庁、静岡県島田市などで公務員となる者、中学・高校の教員となる者などがおります。

今後も地道に教育活動をするとともに、本学科の広報活動にも努力して行きたいと思います。白金法学会会員の皆様には、今後も引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。