歴代の学科主任報告

消費情報環境法学科の近況報告

太田 和俊

1. はじめに
2019年4月より消費情報環境法学科主任に着任いたしました太田和俊と申します。法律学が専門分野ではございませんので、学科運営に関して不慣れな部分も多々ございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。本学科では、今年3月に196名の学生が卒業し、4月には226名(入学定員225名)の学生が入学して新学期を迎えました。以下、簡単ではございますが、本学科の近況についてご報告致します。

2. 消費者法教育
本学科の特徴のひとつであります消費者法教育についての今年度の状況についてご紹介します。

(1) 消費者関連のインターンシップ
本学科独自のインターシップとして、ご存じの通り、消費者関連のインターンシップがあります。机上の勉強だけではなく、インターンシップに参加して、消費生活に対する啓発活動や教育活動、消費者問題に関する情報の収集や検討会への参加、相談業務の補助など消費者実務について実際に体験をしてもらうことが目的です。2019年度は、夏休みの期間を利用して、12名(昨年度は15名)の学生が、神奈川県消費生活課、横浜市消費生活課、川崎市消費者行政センター、鎌倉市消費生活センター、全国地域婦人団体連絡協議会、全国消費者団体連絡会、日本消費者協会、関西消費者協会といった場所で就業体験を経験することになっています。

近年、参加者が減少傾向にあるのが気がかりですが、今後も積極的にインターシップの参加を促していきたいと考えています。
なお、秋学期に、このインターンシップに参加した学生による報告会が開催されます。

(2) 消費生活相談フォローアップ講座の開催
消費者が利用する代金決済方法が多様化し、紛争処理にあたって知識や工夫が必要なことから、本講座は、2010年から連続して、実務家や学生向けの公開講座として実施しています。

2018年度は、2019年2月11日(月・祝)に「割賦販売法改正後のクレジットカードトラブル」といったテーマで公開講座を実施しました。クレジットカードのルールを定める割賦販売法は、2016年12月に改正され、2018年6月に施行されました。改正点として、悪質な販売業者がカードの仕組みを利用して消費者に代金を支払わせる問題に対して、カード会社が連携協力して販売業者の調査や苦情の経穴を図る仕組みを作ることなどがあります。

本講座では、2010年から連続して「決済」をテーマとして取り上げていますが、今回は山本国際コンサルタンツ代表の山本正行氏と消費者決済研究所代表の長谷川恭男氏をお招きし、カードのトラブル防止や解決法に関する法令と実務の状況について講義を行っていただいたり、受講者からの質問について回答していただきました。両氏は本学法学部の非常勤講師もお勤めいただいております。

また、2019年度についても引き続き、公開講座を実施する予定であります。

3. 情報教育
本学科では情報教育も重視しています。そのため、教員免許について、中学社会・高校地歴・高校公民以外に、高校の情報に関する教員免許の取得が可能なのが特徴です。2018年度は、1名が情報の教員免許を取得しました。

また、本学科では、ITパスポート試験(情報の国家資格の1つ:すべての職業人が共通に備えておきたい、ITに関する基礎的知識の理解度を評価する試験)やICTプロフィシエンシー検定試験(P検)などの情報関連資格の受験を推奨しています。国家試験対策室の課外講座のITパスポートの講座などで一定の成果が上がりつつあります。

4. 入学前教育
本学科においては、12年前から特別入試(指定校推薦、系列校推薦、自己推薦[AO])の合格者(手続者)について、希望者については、入学前教育を行い、早期に合格した学生への教育支援を行っております。昨年度から、駿台教育研究所と提携した「入学準備プログラム」を実施しています。このプログラムでは、大学における学習の基礎となる読解力と文章作成能力を養成することを目的に、「英語」および「国語」の2科目について学習を致します。英語は長文読解(2回)、国語は課題図書(福井健策『18歳の著作権入門』)の要約・記述(2回)です。提出された答案については、採点を行い、詳細な添削を行った上で返却します。このプログラムを通じて、大学入学後に必要とされる能力を高めてもらうことを目標とします。

なお、2019年度入学者対象の入学前教育の受講率は93.5%で、周知等の効果もあり、昨年度の83.5%と比較すると、受講率は増加しております。今後も高い受講率を維持し、推薦入試入学者が学科のカリキュラムに入学後も対応できるよう、しっかりと準備をしていきたいと考えています。

6.その他
今年度も法律学科およびグローバル法学科と合同で新入生のためにフレッシャーズ研修を4月4日にグランドプリンスホテル新高輪にて行いました。上級生のSCたちが裁判例を素材に企画、出演、撮影したドラマを上映した後、グループに分かれてディスカッション等を行いました。

7.おわりに
就職状況についてですが、昨年度も堅調で就職率は96.39%となっております。銀行・保険・証券会社などを中心とした民間企業へ就職する者、県庁や市役所などで公務員となる者、中学・高校の教員となる者などがおります。学科として、情報教育に力を入れていることも反映して、ITやエレクトロニクス関連の業種にも進路が広がっていることも本学科の特徴となっています。

今後も地道に教育活動をするとともに、本学科の広報活動にも努力して行きたいと思います。白金法学会会員の皆様には、今後も引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。