歴代の学科主任報告

消費情報環境法学科の現況と課題

執行 秀幸

主任となってから、ほんの数カ月であるので、この数カ月における主任としての経験をもとに、消費情報環境法学科の現況と課題を報告させていただくことにしたい。

今年も希望に満ちた1年生を迎えることができ、4月2日にガイダンスを行った。その後、パソコンが配付されたが、希望者全員に配付するのに夕方までかかってしまった。それは、希望者全員がパソコンの電源を使用できる教室を利用できないことも一因であり、電源コンセントを備えた大きな教室の充実が望まれる。

話は前後するが、白金での法情報処理に割り当てられていた教室が、電源コンセントがなかったり、無線LANしか使用できない教室であったりで、電源コンセント、有線LANが設備されていた教室に変更しなければならなかったが、そのことに、かなりの困難をともなった。これも最大の問題は、白金に携帯パソコンに対応する教室が十分にないことにあり、教務委員会で、そのような教室の充実の要望をした。

5月13日、14日には例年通り、フレッシャーズ・キャンプが開催。今年は鴨川でホテルを貸し切って行ったこと、準備が十分になされたこともあり、討論も懇親会もかなりうまくいったといえよう。しかし残念ながら若干の問題が生じた。今年の1年生に車椅子の学生がおり、フレッシャーズ・キャンプの計画が、そのような学生が参加されることが必ずしも十分考慮されないで計画されていたためである。企画は昨年度の段階でなされており、やむをえなかったことではあろう。だが、最終的には、その学生も参加することになったが、4月以降の私をも含め学校全体の対応は十分でなかったといわざるをえない。消費情報環境法学科自体だけでなく、大学全体のより十分な体制作りが課題である。

明治学院でも法科大学院の2004年開設が予定されている。法科大学院が設立されると、法律家の専門教育は法科大学院で行われることになり、法学部の存在意義が問われることになる。そこで、教授会でも何度かこの問題が検討された。消費情報環境法学科にあっては、来年は完成年度であるため、法科大学院の問題とは別に自己点検評価も行わなければならない。全体とすれば、消費情報環境法学科は健闘しているようにも思われる。だが法律学科と比較すると、やや偏差値が低いことは事実である。それは、法律学科よりも応募者が少ないということも反映している。7月31日、8月1日に聞かれたオープン・キャンパスにおいても、ガイダンスを聞きにきた学生は、きわめて熱心ではあったが残念ながら法律学科と比べると少なかった。そこで、短時間であったが消費情報環境法学科で学科会議を開き、河合塾の講演会に出席された小宮先生の報告と意見交換を行った。

その際、できるだけ、より客観的なデータにもとづいて検討・議論すべきと思われたため、会議前、私自身も入試センターに行き、担当者の方々にいろいろお聞きするとともに、学科の必修科目の授業でアンケート調査を行ってみた。入試センターでわかった重要な点は、消費情報環境法学科の応募者が受けた他校の学部は法学部ではなく経済学部であったり、明治学院大学の他の学科であるという点である。つまり、消費情報の受験生は、法学部という枠組みの中から、この学科を選択しているのではなく、経済学部等の枠組みの中で、この学科を考える傾向がみられる。学生のアンケート調査からも、そのことが裏付けられた。アンケート調査をした学生の少なからざる学生が、入学前、消費情報環境法学科は、理科系の学科である、経済系の学科であるとのイメージをもっていたというのである。また、法学部の一学科であることを認識している学生払これほど「ガチガチ」法律を勉強させられるとは思わなかった、もっとテレビでやっているようなことをやると思ったというような学生もいた。対象が主として2年生であったこともあろう、伝統的な法律、とくに民法の講義が多く法律学科とかわらないではないかという学生も多くみられた。

今後の学科のあり方を考える上で、このような点をどう評価するかは重要である。多様な学生が入学しているという点では好ましいともいえる。だが、これらの学生は、さまざまなフラストレーションをもっているのも事実である。むろん、その中には、われわれ自身が反省し改善されなければならないものも少なくない。しかし、消費情報環境法学科で充実した学生生活を送っている、すばらしい学科である、自慢ができる学科であるとする学生も少なからず存在する。何人かは明治学院の法律学科にも受かったが、パソコンを使うこと、より現代的な法律も学べるという理由で、消費情報環境法学科に入学している。

これらからすると、消費情報環境法学科で何を学ぶのか正確に認識している学生がそうでない学生よりも満足度が高いことが推測される。それゆえ、学ぶ内容につき受験生に誤解がないようにしていくことが重要であると個人的には考えている。消費情報環境法学科設立後、消費者契約法が施行され、現在は消費者保護基本法の改正の検討作業が進められており、ますます消費者法、環境法が重要性をもってこよう。法情報も急激に発展しており法情報処理能力の重要性も否定できない。その意味で、消費情報環境法学科は時代を先取りした学科といえる。そこで、法科大学院をも睨んで、冷静な自己点検評価を行い、消費情報環境法学科を育てていくにはどうしたらよいか今年度から来年にかけて真剣に考え、検討することが、消費情報環境法学科に所属している教員の課題であろう。