歴代の学科主任報告

消費情報環境法学科の近況報告

鶴貝 達政

私は、2008年4月から、山本研教授の後を引き継ぎ、消費情報環境法学科の主任になりました鶴貝達政です。専門は法律関係ではなく、いわゆる理系で、学科基礎科目の「情報処理」を担当しております。従いまして、少なからぬ1年生と初年度から関わりを持っております。法律を専門とする多くの先生方の研究室は白金校舎ですが、私の研究室は横浜にありますので、課題の作成等のわからないところで質問のある学生諸君は、研究室を訪れます。学科科目だけではなく、大学全体の共通科目である「コンピュータリテラシー関連科目」も担当しておりますので、明治学院大学の他学部・他学科の学生とも授業を共にしております。2000年に設立された消費情報環境法学科は、今年で9年目を向かえ、多くの卒業生が既に社会で活躍しております。節目の近づきました学科の近況報告として、2008年度から始まった2つの新しい試み、入学前教育の実施とインターンシップ科目の導入と、就職状況についてご報告いたします。

1. 入学前教育の実施
入試制度は、一般入試以外にも推薦入試、系列高校入試、AO入試等に多様化されています。学科の入学定員175名のおよそ半数の学生は、4月の入学までにかなりの時間が生じます。この時間を利用する初めての試みが、2007年度の準備段階を経て、2008年度の推薦入試合格者に対して行われました。その目的は、高校生から大学生へとスムーズに移行できるよう、文章作成能力を養うことにあります。

推薦入試合格者が発表されるのが12月初旬ですから、まず10月に次の3冊の新書を課題図書として選定しました。

①村 千鶴子 『消費者はなぜだまされるのか~弁護士が見た悪徳商法~』
②大屋 雄裕 『自由とは何か-監視社会と「個人」の消滅』
③池上 彰 『伝える力』

それぞれの課題図書を読み、2000字程度のレポート課題を、本学のe-learningシステムを利用して提出してもらいます。レポート提出に関しては、提出するだけではその効果は限定的となるため、提出されたレポートを添削し、学生に返却した上で再提出を求めるということにしました。

対象となった学生諸君は既に中学・高校において「情報」という必修科目を受講しており、コンピュータの基本操作については、問題は少ないと考えてはおりましたが、コンピュータを実際活用しての課題提出することは初めての学生も少なくないと思われましたので、入学手続が終了した12月26日、27日に横浜校舎でe-learningシステム操作に関する説明会を、情報センターの協力のもとで行いました。

今年度、初めて入学前教育を実施するということもあり、学生がどの程度私たち教員の要求に応えられるのかなど不透明な点もありましたが、概ね予定していた通りの入学前教育を実施できたと考えております。

2. インターンシップ科目の導入
インターンシップとは、学生が実際の職場で働く経験をすることで、在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行う制度のことです。大学の講義に留まることなく、広く社会へ出て経験をつむことは、学生にとっても貴重な体験となります。従来もインターンシップ制度というものはあり、本学のキャリアセンターからの情報提供や学生が独自に興味のある会社を調べて、職場を体験することはありましたが、消費情報環境法学科におけるカリキュラムの一貫として(つまり、インターンシップを終了することで単位を取得できる)インターンシップ科目の導入は、はじめてのことであり、2007年度は、2008年度からの実施のための制度設計、受入先の決定等事前準備を行ってまいりました。

インターンシップは、本学では経済学部等が既にカリキュラムに導入しているので、他大学での実施状況とともに参考にしながら、制度設計を行いました。実施要領および応募関係書類、インターンシップ先での日誌や報告文の雛形、学生向けの手引き書を作成し、消費情報環境法学科で学生に配布するCD-ROMに登載しました。

消費者団体や地方自治体の消費者政策関連部門など実務重視のユニークな受入先(下表参照)のインターンシップを用意することができました。特に、横浜市は、市独自のインターンシップの受け入れを行っていますが、今回は、特別に消費者行政担当課オリジナルのメニューでのインターンシップを実施してくれることになりました。また、関西の消費者団体も受入先となり、夏休み等関西方面に帰省している学生にも対応できる体制が整いました。
〔2008年度消費者法関連インターンシップ受入先と概要〕

実習先 所在地 実習内容 時期 実習人数
横浜市経済局消費生活課(横浜市の一般のインターンシップとは別プログラム) 横浜市中区港町1-1(JR根岸線関内下車) 消費者政策関連業務の実習・見学・補助等

夏休み中、一週間程度

若干名

独立行政法人  国民生活センター研修部

神奈川県相模原市 弥栄3-1-1
(JR横浜線淵野辺駅下車)

消費生活相談員向け
研修講座の補助

7月~8月下旬

 

1人

財団法人
日本消費者協会

東京都千代田区三崎町1-3-12
(JR・地下鉄 水道橋駅下車)

刊行物の編集・検定試験・各種講座の補助

8月~10月 2~3人

全国消費者団体連絡会

東京都千代田区六番町15
(JR・地下鉄
四谷駅下車)

会議運営の補助、会議同行、ヒアリング等

春休み中、一週間程度

若干名

財団法人
関西消費者協会

大阪市中央区大手前1-7-31(地下鉄天満橋下車)

大阪市住之江区南港北2-1-10

展示・講演会の補助

雑誌の取材同行・校正、相談業務補助

親子体験講座の補助

8月

2月~3月

8月

3人

5人

1人

 

インターンシップを履修した多くの学生は、夏休み中に職場体験中であり、その体験談なども可能な限り情報公開をしていこうと考えています。はじめての試みであるため、学生のニーズや実際の実施状況等不透明なところもあり、受入先や人数等あまり拡大はしませんでしたが、次年度来年度以降は、2008年度の実施状況を見つつ受入先について、対象を拡大するなどの検討をしてまいります。

3. 就職状況について
労働人口の減少を見越した企業の採用実績は、衰えてはいないようで、就職状況は好調といえます。2006年3月には平均91.3%だった就職率が、2007年3月では97.3%まで推移しています(具体的な進路の詳細については、本学のキャリアセンターのHP(http://www.meijigakuin.ac.jp/office/career/)に掲載されておりますのでそちらをご参照ください)。

本学科卒業生の就職先として、一番多いのが金融関係であり、全体の22%を占めています。他学科にない本学科の特徴としては、IT関連・エレクトロニクス関連企業へ就職する学生の割合が高いことがあげられます。過去3年間(2005-2007年3月卒業生)のデータでみますと、IT関連が12%、エレクトロニクス関連が10%と、本学における就職内定者業種別比率でも、最も高い割合を示しています。

4. おわりに
学科からの最新の情報は、ホームページ(http://mgulaw.jp/)で発信しております。これからも、よりよい教育を提供できるように努力していく所存ですので、白金法学会会員の皆様におかれましても、今後ともご支援とご指導を賜りたく、お願い申し上げます。