消費情報環境法学科開設20周年に寄せて
消費情報環境法学科所属 来住野 究
消費情報環境法学科は、法律基礎科目群の土台の上に、現代社会において重要性が高まっている法分野として、消費者法科目群・企業活動法科目群・環境法科目群の三本柱を立てている。このうち、消費者法分野は、学生のニーズと人気の高い本学科の看板科目であり、消費生活アドバイザー・消費生活相談員の合格者も相当数輩出し、その知識を生かして各企業・各地の消費生活センターなどで活躍している卒業生も少なくない。
消費生活アドバイザーの資格審査・証明機関である一般財団法人日本産業協会は、2019年に、「マスター消費生活アドバイザー」という制度を創設した。これは、消費生活アドバイザーのキャリアアップの制度というべきものであり、大学院で消費者政策や消費者志向経営をより専門的に学び直すことにより、消費生活アドバイザーが行政・企業においてさらに活躍の場を広げるチャンスとなることが期待される。マスター消費生活アドバイザーの認定を受けるためには、①消費生活アドバイザーの資格を有していること、②5年以上の社会人経験(うち、顧客関連業務(営業・商品開発等を含む)に1年以上従事していること)があること、③指定大学院において消費者関連科目を5科目以上履修し、当該大学院を修了していることが必要である。
本学大学院法と経営学研究科も、消費者志向経営履修モデルを設置することとし、本年8月に、日本産業協会よりマスター消費生活アドバイザーに係る大学院の指定を受けた。同志社大学・明治大学・昭和女子大学に次ぐ4番目の指定である。消費者関連科目として、14科目を開講する。
もっとも、すでに消費生活アドバイザーの資格と社会人経験を有している者しか指定大学院に進学できないわけではない。マスター消費生活アドバイザーの認定を受けるための前記3要件をみたす順序は問わないため、現役で消費生活アドバイザーの資格を取った大学生がそのまま指定大学院に進学した後に所定の社会人経験を経た場合のほか、指定大学院在学中にまたは修了後に消費生活アドバイザーの資格を取得した上で所定の社会人経験を経た場合でも、マスター消費生活アドバイザーになることができる。
消費情報環境法学科の学生にとって、この制度が消費者法の勉強と大学院への進学の動機づけになってくれれば幸いである。