消費情報環境法学科設立20周年に寄せて

消費情報環境法学科所属 倉重 八千代

2000年4月、明治学院大学法学部に消費情報環境法学科が開設され、2020年に20周年を迎えることとなった。

この20年の間に、消費情報環境法学科の多くの学生が明治学院大学を卒業し、法科大学院に進学し法曹界を目指したり、公務員として活躍したり、法曹界や消費者関連・情報関連・金融関連・その他サービス関連等の民間企業・各種機関・団体等で活躍するなどしている。本学科から様々な分野で活躍し社会貢献できる優れた卒業生を継続的に社会に輩出できていることは大変喜ばしい限りである。

ところで、周知の通り、2020年は新型コロナウイルスという未知のウイルスの感染拡大が与えた影響により、諸外国においては、いわゆる「コロナ禍」が国際的な紛擾に発展したり、また、世界中の多くの人々の生活レヴェルにおいても混乱が生じ、生活様式・経済活動が大きく変容したりする年となった。

我が国においても、コロナ禍の影響により、学び方、働き方、コミュニケーション手段の多様化・複雑化が急速に進み、人々の生活様式・経済活動に劇的変化が生じた。これらを背景に、消費のあり方、消費構造も激変し、これらに対応すべく変革・取組が迫られた。大学教育においてもその例外ではなく、コロナ禍の影響を受け、本学においては、春学期は対面授業や数多くの行事が中止となり、オンラインによる遠隔授業の全面導入をはじめ、前例のない数々の対応を余儀なくされる状況となった。ICT(情報通信技術)教育の一層の充実、ロボットやAI(人工知能)の活用の必要性も指摘されているところであるが、グローバル化、高度情報化社会の進展による光と陰、現代社会が直面する新しく難解な法的問題も多々露呈し、今後さらに、これらの問題に柔軟に的確に対処できる力を培うことが急務になると考えられる。

消費情報環境法学科は、現代の多様化・複雑化した法制度を消費者の視点から鋭く分析することのできる人物を輩出することを教育目標の一つとして掲げ設立された学科である。そのような教育目標を達するために柱となる法分野が、「消費者法」、「企業活動法」、「環境法」である。そして、本学科には、これらに関連する科目だけでなく、「情報処理」等の科目も配置され、学生がコンピュータ技術を活用しつつ、本学科で修得した知識を駆使しながら、様々な法的問題・トラブルを、消費者保護や利益を考えながら解決することのできる力を身に付けるためのカリキュラムが多数用意されている。2020年現在の国内外の状況を見据えると、コロナ禍による未曾有の混乱について、今後も長期的に適正確実な対応が求められることが見込まれる。

このような中、在学生・卒業生が学生時代における様々な学修・経験・出会いを自身の糧や人生の道標とし、混迷極まりない今日の時代、ますます多様化・複雑化する社会において、時代の変化・要請に柔軟に対応し、数々の難局を乗り切り、社会貢献できる人として活躍できるようになることを願っている。在学生・卒業生が切磋琢磨し真価を発揮できるよう、私自身も尽力して参る所存である。

最後に、消費情報環境法学科が20周年を迎えることができたことにつき、関係者の皆様に心からの謝意を表させていただきたい。