JC20周年記念HPメッセージ

グローバル法学科所属 申 美穂

消費情報環境法学科20周年誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
私は、2011年の本学着任時から7年間にわたり、所属教員として様々な業務に携わらせていただきました。グローバル法学科の設置に伴い2018年に学科を離れましたが、その後も2019年度までは学科の必修科目である法情報処理演習を担当しており、20年のうち半分ほどの期間は私も浅からぬ縁があったということで、このたびこのようなメッセージをお送りする機会を頂戴しました。

消費者法・環境法・企業活動法についての教育・研究を柱として、現代社会で起きる様々な問題に適切に対処できる応用力を備えた人材の育成を目指すという消費情報環境法学科のコンセプトは、国際私法・国際取引法という、最近の流れでいえば先端科目としてカテゴライズされるであろう法分野の研究を専門とする私自身の目にも、非常に新鮮に映りました。現代社会ならではの問題に果敢に取り組んで行こうとする学科の姿勢は、良い意味でアグレッシブで、非常に成長が見込める面白い方向性だなぁ、というのが着任時の印象だったのです。事実、この思いは裏切られることなく、学科の名前が浸透していくにつれ、世間や受験生からの関心も高まり、現場にいる者として、学科が成長しているのだなという実感を得ていました。
このような成長を得られた一つの背景には、消費情報環境法学科で積極的に展開している最先端の科目群は、現代社会ならではの問題と直結しているものが少なくないということで、高校生が社会問題として学校で学んできたことと連続性があるものが多いということがあるように思います。最先端の問題だからこそ問題は我々の身近なところにあり、だからこそその問題の解決に取り組もうとする学科のカリキュラムやコンセプトが高校生達の心に響いたのでしょう。
これは学科の魅力的なポイントではありますが、他方で、課題も内包しているように思います。最先端の問題に法という観点から切り込んでいくためには、法学の基礎をしっかり押さえておく必要があります。消費情報環境法学科所属の教員として、学科の学生さんたちと触れあってきてつねに感じていたのは、法学の基礎と先端・展開科目との間に浅からぬ溝ができてしまっていることがあるのではないか、基本をしっかり身につけないままに発展問題に取り組ませてしまっていないか、という危惧でした。1・2年生向けの演習科目(法情報処理演習)を担当していた教員の一人として、法学の基礎をしっかり身につけさせる責務は私自身にもあったわけですので、振り返ってみて、もっとああすればよかった・こうすればよかったと反省する点も多いのですが、あらゆる学生さんが、基礎から発展まで適切なステップを踏みつつ着実に学習できるカリキュラムになっているかという点については、まだ改善の余地があるのではないかと感じています。限られた時間の中でバランスの取れたカリキュラムとすることの難しさは新学科設立の際に私自身も実感したことで、決して容易なことではないとは承知していますが、今後のカリキュラム改革に期待を申し上げる次第です。
またもう一つ、この学科で感銘を受けたのは、情報処理技術や知識の習熟にも力を入れていた点です。情報化・IT化が叫ばれるこの時代、文系学科といえども、情報処理・PC・インターネット等を活用し、様々な情報を入手したりそれを学習や仕事に活用したりする知識やノウハウは必須であり、また単なる技術的知識に留まらず、法的な観点もふまえた“正しい”知識を備えるということは、非常に重要であると私自身も常々考えていました。この意味で消費情報環境法学科の取り組みは画期的で、極めて有意義と思います。最近のスマホの普及によって、PCはむしろ学生さんの手から離れていますが、だからこそ、授業でPCに習熟する機会を多数持つということの重要性が増しているように思います。

学科設立20周年という記念すべき今年、新型コロナウィルスの感染拡大で、世界は激動しました。様々な変化に揺れ、今迄に予想もしなかったような社会問題も登場しました。オンラインでの業務遂行・学習が求められる時代にもなりました。今こそ、最先端の問題に情報処理技術や知識を駆使して取り組む消費情報環境法学科の果たす役割が求められているように思います。学科の更なる発展を心より祈念いたします。