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白金法学会

白金法学会論文賞

2009年度 白金法学会論文賞審査結果

1.総評

今年度は、3つのテーマ(①私が裁判員になったら、②高齢者の法律問題(成年後見制度、悪徳商法の被害者問題、責任能力の問題など)、③代議士の世襲問題について)から1つを取り上げ、具体的問題点を踏まえて、その法的課題や解決策等について論じて下さいというものでありました。応募総数23件の内訳は、テーマ①が15件、テーマ②が7件、テーマ③が1件でありました。

 今年度は、昨年度に比べて応募者多数であったことから、昨年度とは審査方法を若干改め、各審査員に上位4位に該当する論文に順位付けをしてもらい、その4件について集中的に評価をしてもらうという形式を採用しました。
 論文審査は、清水忠之、倉重八千代、中村良隆の3名の教員役員、井上寛、川浦秀夫、佐藤祐太、松井理の4名のOB役員、合計7名によって行われ(以上、敬称略)、10月13日までに審査報告書を提出して頂きました。これらの審査報告書を踏まえて、10月14日に清水、倉重、中村の教員役員に大野を加えて、審査会議が開催されました。厳正な審査の結果、上記のとおり、最優秀賞及び優秀賞を贈ることを決定致しました。以下は、その総評であります。
 まず、最優秀賞とされた論文については、3名の審査委員より1位の評価が得られておりました。本論文は、裁判員制度の諸問題を制定から判決終了後まで時系列に合わせて提示し、各問題に対して自分なりの考えを論述していること、問題の提起・背景の解説から始まり、事例の分析・考察を行った後、結論を導き出しており、論文としての形式面が優れていること、そして何よりも、「私が裁判員になったら」という課題に最も忠実にあり、自分が裁判員になった場合の対応、心づもり、心構え等について論述されていることなどが高く評価されました。ただし、最後の点についてはやや物足りないものがあるとの意見も出されましたが、文章を論理的に展開し、図表を駆使して実証的かつ分かりやすく説明されている点、諸問題を深く検討した上で、解決策を提案している点などを考慮すると、その不足分は補われ、全体的に高い評価に値するとされました。
 次に、優秀賞とされた論文については、上記の①論文から③論文までは多くの審査委員から高い評価が得られており、優秀賞に値するとの評価が得られました。なお、この時点で受賞対象とされた論文がいずれもテーマ①に関するものでありましたので、ここでさらに他のテーマを取り扱った論文をも再度検討することとしました。その結果、テーマ②に関する④論文と⑤論文に相対的に高い評価がなされていましたので、これらを優秀賞に加えることが適当であるとの結論に至りました。
 以上の審査報告書及び審査会議の結果を踏まえまして、下記のとおり決定した次第であります。

2.審査結果

(1) 最優秀論文賞:1件
   矢治 雄太
(2) 優秀論文賞:5件
   青木 里佳
   鈴木 翔子
   有賀圭佑・岸純平 共同製作
   平野 友希
   下川 奈々
(3) 参加賞:応募者全員