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白金法学会

最優秀卒業論文賞

2004年度 白金法学会最優秀卒業論文賞

受賞者には、2005年3月24日の卒業証書授与式会場において、白金法学会から表彰状と賞金が授与されました。

JU
◇大曲 彩紀子(おおまがり さきこ)
『交通事故調書の早期開示について』 

 近年、車社会がますます進展することに伴い、その一方で交通事故も年々増加している。車を運転しない人であっても、いつ自分の身に振りかかってもおかしくない身近な出来事となっている。依然として交通事故により毎年多くの犠牲者を生み、特に被害者側の苦しみは計り知れないものである。一瞬の出来事で人生をも狂わせる交通事故によって、被害者は様々な問題に直面し、身体的、精神的、経済的に被害を受ける。  
 現在の裁判のシステムは、警察官が被疑者を逮捕し、検察官が起訴をして、弁護人がその被告人を弁護し、その上で裁判官が判断を下す。このような状況の中で、交通事故に巻き込まれた被害者は、全く関わりをもたないところで問題が片付けられていた。年々、法改正を重ね被害者への配慮を踏んだ法制度は整いつつあるが、まだまだ被害者の思いとは裏腹に、十分な環境が整っていないと考える。  
 本稿では、ジャーナリスト柳原三佳氏の海外レポート、「交通事故調書の開示を求める会」の代表を務める鬼沢雅弘氏の活動、そして片山隼君事件などを事例として、第1章では、「交通犯罪の現状」、第2章では「交通事故に関する早期開示の現状」、第3章及び第4章で「アメリカとドイツにおける情報開示の現状」を取り上げ、最終章では「交通事故調書の早期開示に向けて」と題し、私なりの交通事故早期開示の法制度の提案をした。「交通事故手続記録公開法」を新設し、全ての交通事故に対し、被害者を含む交通事故当事者らが、現在の制度よりも早急に、事故の真相を知ることができるよう、事故捜査過程で警察官が作成した調書を閲覧できるというものである。   
 現在、交通事故の捜査に対する社会的関心は、他の大規模な事件捜査と比較して薄いと考えられる。交通事故によってかけがえのない家族を失う、あるいは後遺障害などにより人生も変えられるなど、深く傷つけられた被害者のせめてもの願いは、尊い犠牲が生かされ、真に命と人権が大切にされる社会がつくられることだと考える。

JP
◇政治学科高橋 陽介(たかはし ようすけ)

『まちづくりにおける協働の手法:下北沢の「落書き消し隊」の実例を中心に』 

 ここ数年、日本における住民が抱えるまちの問題として、「落書き問題」が大きく関心を呼ぶようになった。渋谷などを中心とした都市部での落書き被害は深刻であり、住民が落書き除去作業を行っても再び描かれてしまい、住民と落書き犯の「イタチごっこ」に終わってしまうというケースがよく見受けられる。増加している公共物や商店のシャッターへの「落書き」はまちの美観を脅かす存在であり、住民が行う落書き対策はまちづくりの一類型であると考えられる。落書き被害に苦戦する住民に関する報道や、増加し続けるまちの落書き群を見る限りにおいては、落書きをまちから排除することは困難と考えられがちであり、東京都世田谷区下北沢も数年前から落書きの被害に頭を抱えていた。しかし、下北沢南口商店街の人々が中心となった「落書き消し隊」の活動は一定の成果をあげ、落書き問題が決して「解決不可能な問題」では無いことを明らかにした。  
 本稿では、下北沢を中心としたフィールドワーク(「落書き消し隊」活動への参加、住民や行政へのインタビュー等)をもとにした知見を利用し、下北沢「落書き消し隊」の活動を事例として、第一章では「住民が中心になった協働」を理論的に考察し、第二章では「効果的な落書き対策の段階的な実施」を「落書き消し隊」の活動が一定の成果を挙げられた要因を分析し、第三章において、それらの要因が「住民が主体となったまちづくり」の実践を可能にすること実証した。下北沢における落書き対策では、近年盛んに議論されている住民と行政との「協働」の一類型であると考えられる。一方で、住民主体のまちづくりを実践するための、住民らの「まちの問題は自分たちで解決すべきだ」という意識の重要性を認識させている。下北沢のまちづくりにおける「協働」は、多くの地域において住民が主体となったまちづくりを実践する際の参考事例となることを示し、その構成要素を分析・考察した。

JC
◇消費情報環境法学科 藤野 裕介(ふじの ゆうすけ)

『ロシア極東の変遷と開発展望を多角的に考察する~ロシア極東の目指すべき開発モデルの提唱~』