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知識を知恵に変える力を

太田 和俊

担当科目 情報処理1
専攻分野 理論物理学

 新入生の皆さん,ご入学おめでとうございます。
 皆さんは,小学校,中学校,高校と勉強を続けてこられ,このたび大学に入学されたわけですが,「学校の勉強がいったい何の役に立つんだろう?」と疑問に思った事はありませんか? 私は,数学や物理などの学問が実社会にいったいどんな役に立つのか?という質問を受けることがよくあります。皆さんには数学や物理を専門に研究している人以外には,それらの知識はまったく役にたたない物に思えるかもしれません。確かに,数学や物理の専門知識をすぐに社会に役立てるというのは,とても難しい問題で,答えに困ってしまいます。けれど,これは「知識」といった側面だけで学問をとらえてしまっているからです。
しかし,例えば物理の勉強を続けて多くの知識を得ていくと,その物事の背後にあるその学問を作り上げてきた人たちの「知恵」を理解できるようになります。数学でしたらその数学的知識を学ぶ過程は,問題の背後にある論理的な物の考え方を養うのに役立ちます。その得られた論理的な思考,すなわち知恵は皆さんがこれから主に学んでいくであろう社会科学の分野や,実生活などの思いがけない所で(意識する事は無いかもしれませんが)必ず役に立っていきます。
 私は専門が物理学なので,理数系の科目の話になってしまいましたが,大学とは知恵を学ぶ所であるという事はどの分野の学問にも共通することだと思います。今まではどちらかというと勉強とは知識を得る事だと考えてきたのではないでしょうか? きっと学校の先生が与えてくださる知識を覚えることが勉強だったはずです。けれど,大学での勉強では自分が主体となって学んでいくという姿勢がとても大事です。決まった知識を与えられるだけでなく,自ら進んで学び取っていく事で知恵を得ることができ,それが自身の力になっていきます。
 主体性を持って勉強するのに一番大事なことは,好奇心です。とにかくいろんな事を知りたいという知的好奇心を常に持ち続ける事です。勉強はさせられるのではなく,知りたいと思う気持ちが一番大切です。そうやって,好奇心を持って知識を吸収することで,その多くの知識を自分の知恵とする事ができます。大学で学ぶという事は,今までの勉強とは違った考えで自ら学んでいくという姿勢を身につける所です。そういった姿勢を身につける事が知識を知恵に変える力を養い,社会に出てからの様々な分野における活躍に繋がっていきます。
 皆さんもぜひこの大学では知識だけでなく,多くの知恵を学んでいってください。知恵を学んでいく事で,皆さんがこれから様々な場面でご活躍される事を願っています。