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議論に勝ち負けはなく,ただ…

渡辺 充

1957 年5 月11 日生まれ
担当科目 租税法,演習
専攻分野 租税法

 新入生の皆さん,入学おめでとう。期待と不安のなか,新しい生活がはじまりますが,自ら立てた目標に向かって努力を惜しまず,頑張ってください。
 4 月というのは特別な月です。物事がはじまるにはステキな季節で,フレッシュな新人の顔をみると,こちらも負けじとファイトがわいてきます。
 ところで,私の専門は租税法ですが,学生諸君も毎日の買い物で消費税を支払い,アルバイトの給与から所得税が差し引かれ,自動車を持っていれば自動車税の支払いがあります。アダム・スミスは国富論の中で,「租税は国が人民のポケットに手を突っ込んで,お金を奪い取るものである」といいましたが,人の手がポケットの中に入ってくるのを無関心ではいられないはずです。皆さんには税についてもっと関心を示し,勉強していただきたい。
 昨今,「公平な課税」,「公正な課税」,「適正な課税」など,いろいろな修飾語をつけて国民に税を課することを正当化する向きがあります。何が公平であるかは租税法に限らず法律を学ぶものにとって共通の,しかも永遠のテーマです。皆さんは,われわれ教授陣をはじめ仲間と大いにこの「公平」について議論してください。そのとき,忘れてほしくないことがあります。私の恩師は現在の法人税法の立法担当者でしたが,仲間との議論で,自ら主張する点に合理性を欠くと判断したときは,相手との議論に負けたと思うのではなく,“自分がより真理に近づいた”と思うことにし,合理性のある立法を目指したといいます。私は何度もゼミの時間に恩師に挑戦しましたが,その度毎に一敗地にまみれました。しかし,
それは取りも直さず真理に近づいた証拠です。
 議論に勝ち負けはありません。ただ真理に近づくのみです。この4 年間,大いに議論しましょう。