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10 年後の自分は?

酒井 一博

担当科目 情報処理1
研究分野 物理学(素粒子理論)

 入学おめでとうございます。みなさんは今,多かれ少なかれ新しい生活に対する期待と不安を抱いていることでしょう。そんなみなさんに,これから大学生活を送るにあたって,おすすめしたいことがあります。それは,将来の自分のイメージをつくることです。これから実際に大学生活が始まってしまうと,授業にサークル活動,アルバイトに友人づきあい,新しい生活に慣れることに一生懸命で,気がつけば入学当初の初々しい気持ちはどこか遠くに吹き飛んでいるかもしれません。ですからはじめが肝心です。思い浮かべてみてください。10 年後,あなたはどうなっていたいですか?あるいは20 年後,30 年後は?
 ここで重要なのは「このまま行けば自分はこうなっているのではないか」という予想の形ではなく,あくまでも「自分はこうなっていたい」という憧れの形をイメージすることです。なりたい自分のイメージは,人に言わなくてもよいので,見栄を張る必要もなければ周りの意見を気にする必要もありません。(もっとも周囲に宣言すると,それが自分へのよいプレッシャーになるということもあります。)職業選択という狭い観点にとらわれる必要もありません。広い家で暮らしていたい。外国語を自由に操って活躍していたい。気品と知性を備えた素敵な大人になっていたい。。。即物的でも観念的でもとりあえずはよいのです。何かしら思い浮かぶのではないでしょうか。
 なりたい自分のイメージはいつでも変更可能です。みなさんがこれから大学での学習,読書,アルバイト,ボランティア,旅行などを通じて直接的・間接的な経験を積むことにより,変わって行くことでしょう。なりたい自分のイメージは,ちょっと自分には無理なんじゃないか,と思えるものでも構いません。今後の長きにわたる学習と経験の積み重ねは,おそらくみなさんが思っている以上に,みなさんを変貌させます。時間が味方してくれるのです。自分にはどうせ無理なんじゃないか,という心の声をひとまず横において,正直に考えてみてください。自分は,どうなりたいか?
 人生必ずしも計画通りには運びません。運や偶然に左右され,また時には自分にはどうすることもできない大きな力に行く手をはばまれることもあります。それでも,なりたい自分のイメージは,みなさんのこれからの学びの軸となり指針となります。軸が定まっていると,あとはその場その場の運や出会いに身を任せていても,10 年単位の長い目でみれば,自然となりたい自分になっているものです。
 大学は学び方を学ぶところだと言えます。みなさんはこれまでの学習を通じて,既にある程度自ら学ぶ技術を身につけているでしょう。しかし,大学以降の学びが今までと異なるところは,学びの範囲が定まっていないことです。大学受験までの学習は,極端な話,試験範囲を若さに任せて丸暗記してしまえばよかったかもしれません。しかし,みなさんがこれから社会に出て活躍する際に役立つ学びは範囲が限られていません。何を学ぶか,どこまで学ぶか,自分で設定する必要があるのです。大学を出た後も学びは続きます。むしろ大学を出てからどれだけ自主的に学ぶかが,その人の将来を大きく左右します。誰も鞭打ってはくれません。そんなとき,なりたい自分のイメージは,何を学んだらよいか探る上での道しるべとなり,学び続ける上での原動力になると思います。
 授業でお会いできるのを楽しみにしています。