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白金法学会

白金法学会論文賞

2014年度 白金法学会論文賞審査結果

1.総評

今年度の論文賞は、下記の5つのテーマ(⑤のみ1,2年生限定)から一つを取り上げ、具体的問題点を踏まえつつ、原因、解決策等について論じてもらうものでした。
① 消費者法の今日的課題について(消費者団体訴訟、インターネット取引上の問題、高齢者の被害対策、食品表示のあり方など)
  ② 子育てにかかる問題について(労働法上の問題、子育て支援・保育所などに関する社会政策的問題など)
  ③ 同性婚の可否について
  ④ 選挙権年齢の引き下げについて
  ⑤ 自分が最も関心ある法的または政治的な問題について(自由論題―1,2年生限定)※

応募総数は14件あり、その内訳はテーマ①が3件、テーマ②が3件、テーマ③が6件、テーマ④が2件、テーマ⑤が0件でした。

【審査経緯】
 昨年度に引き続き、応募者が多数であったことから、以下の段階を経て審査を行うこととしました。まず、教員役員とOB役員が1名ずつ1つのグループとなり、テーマごとに4グループ(テーマ①、②、③、③の一部と④)を形成し、それぞれ対象論文を審査しました。そこで提出された順位を元に、再度教員役員4名で審査を行いました。
 審査の結果、残念ながら最優秀論文賞の該当者はおりませんでしたが、上記のとおり優秀賞2名(吉田ありさ氏、加藤卓将氏)、奨励賞1名(瀧口沙織氏)が決定されました。

【講評】
 まず論文賞全体についてですが、1,2年生の参加者が1名もいなかったことが残念でした。1,2年生に向けては自由論題を設けており、ぜひ関心あるテーマで積極的に参加してほしいと思います。次に、提出論文についてですが、14名の方が8千字以上の論文を書いた事は評価したいと思います。論文を書くことで、自身が選んだテーマについて深い知識を得て考察する機会を得られたことでしょう。ただ残念なことに、形式面では、章立てをしていない論文、注が付けられていない論文、文献参照がインターネットのみ、あるいは研究論文を1本も見ていない論文などが見受けられました。また内容面ですが、参考文献を咀嚼し自分なりの言葉で書くこと、問題を設定し法的あるいは政治学的な視点から考察する作業が十分ではないように思われました。法学部では論文作成に向けて必要となる技術を学ぶ授業を設けています(法律学科:法学基礎演習、2年次演習、消費情報環境法学科:法情報処理演習、政治学科:アカデミックリテラシー、基礎ゼミ等)。また、どの教員も論文指導を求められれば熱心に応えることでしょう。執筆の際には、ぜひ授業等を活用してほしいと思います。

 このような中で優秀賞に選ばれた吉田ありさ氏の論文ですが、形式面が整っているほか、先行研究を参照しながら問題の提起や議論の展開が上手に行われている点評価されました。しかしながら、より深い議論や自分なりの主張の提示があるとなお良かったとのことです。またもう一人の優秀賞に選ばれた加藤卓将氏の論文ですが、多数の文献を読みこなし、同性婚反対の主張を反駁する形で議論を行っており、わかりやすく説得的であるとの評価でした。しかしながら、自身の積極的な主張と根拠の提示ならびに法的な考察がさらに行われると良かったとの評価でした。
 また奨励賞に選ばれた瀧口沙織氏については、同性婚に関する問題点を様々な角度から分析しわかりやすくまとめていた点が評価されました。しかしながら、まとめが感想的な内容にとどまっており結論が明確でない点、法制度に関する議論や検証が不十分な点などが今後の課題とされました。
 これらのコメントを参考に、ぜひ論文を見直してみてください。

2.審査結果

(1) 最優秀論文賞:該当なし
(2) 優秀論文賞:2件
  吉田ありさ(法律学科3年)
  加藤卓将(法律学科3年)
(3) 奨励賞:1件
  瀧口沙織(政治3年)
(4) 参加賞:応募者全員