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白金法学会

白金法学会論文賞

2015年度 白金法学会論文賞審査結果

1.総評

今年度の論文賞は、下記の5つのテーマ(⑤のみ1,2年生限定)から一つを取り上げ、具体的問題点を踏まえつつ、原因、解決策等について論じてもらうものでした。

①消費者法の今日的課題について(消費者団体訴訟、インターネット取引上の問題、高齢者の被害対策、食品表示のあり方など)
②子育てにかかる問題について(労働法上の問題、子育て支援・保育所などに関する社会政策的問題など)
③同性婚の可否について
④憲法改正に関する今日的課題について
⑤自分が最も関心ある法的または政治的な問題について(自由論題―1,2年生限定)※

応募総数は26件あり、その内訳はテーマ①が4件、テーマ②が13件、テーマ③が9件、テーマ④が0件、テーマ⑤が0件でした。

【審査経緯】
昨年度に引き続き応募者が多数であったことから、以下の段階を経て審査を行うこととしました。まず教員役員とOB役員が1名ずつ1つのグループとなり、テーマごとに4グループ(テーマ①と②の一部、②のみ、②と③の一部、③のみ)を形成し、それぞれ対象論文を審査しました。そこで提出された順位を元に、再度教員役員4名で審査を行いました。
審査の結果、残念ながら最優秀論文賞の該当者はおりませんでしたが、下記のとおり優秀賞1名(岩井智弘氏)、奨励賞3名(鈴木祥華氏、濱野花凛氏、大島梨香氏)が決定されました。

【講評】
今回の論文賞では26名の方から応募がありましたが、いずれも3年生、4年生による応募であり、1,2年生の応募がなかったことが残念でした。1,2年生には自由論題を設けていますので、関心あるテーマで積極的に参加されることを望みます。
また提出論文について、形式面が整っていないもの(章立てがない、引用が明示されていない、文献参照がインターネットのみ等)が見受けられたほか、内容面では、問題設定がされていない論文や法的あるいは政治学的な視点から考察を行うことが十分でない論文が多くありました。演習授業等を活用し、論文執筆に必要な要素を学んで頂きたいと思います。
こうした中で優秀賞に選ばれた岩井智弘氏の論文は、論文としての形式面の他、同性婚に関連する幅広い論点を要領よくカバーした点が評価されました。反面、個々の論点に関し特にオリジナルな主張が見られないのは残念であり、最優秀賞には該当しないと判断されました。
また奨励賞に選ばれた論文ですが、鈴木祥華氏の論文は、様々な資料を用いながら丁寧に議論を進めている点評価されました。しかし、消費者利益と環境保護利益の両立をめざすという課題設定に対して、抽象的なレベルでの論述に終始しており、それらの両立が具体的にどのような意義を有するのか明らかでなく、結局、筆者がどのようなことを主張したいのかよく分かりませんでした。また、文章の読みにくさや誤字などもあり、優秀賞には及ばないとされました。
また濱野花凛氏の論文は、構成の良さや文章の読みやすさ、自身の言葉で書かれている点評価されましたが、議論に新しさがなく、注の不十分さ等形式面の問題もあり、奨励賞となりました。大島梨香氏の論文は同性婚の国際的な普及状況を幅広く調査した点評価されましたが、論文の体裁・構成にやや難があり、奨励賞となりました。これらのコメントを参考に、ぜひご自身の論文を見直してみてください。

2.審査結果

(1)最優秀論文賞:該当なし
(2)優秀論文賞:1件
 岩井智弘(法律学科4年)
(3)奨励賞:3件
 鈴木祥華(法律学科3年)
 濱野花凛(政治学科3年)
 大島梨香(法律学科3年)
(4)参加賞:応募者全員

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