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白金法学会

最優秀卒業論文賞

2015年度 白金法学会最優秀卒業論文賞

受賞者には、2016年3月17日の卒業式会場において、白金法学会から表彰状と賞金が授与されました。

◇法律学科 石井 智也(いしい ともなり)
『日本のワインをめぐる法規制の在り方とは』

日本はワインを生産する国であるにも関わらず、ワインに関しての法規制が十分になされてこなかった。世界のワインを生産する国々においては、それぞれで独自にワイン法を定めている。

ワイン法とは、20世紀前半のフランスを中心にして大きく発展し、善良な生産者の利益の保護、ワインを飲む消費者の保護をその目的として定められたものである。現代のワイン法では、EUのワイン法を参照していくと、「ワインの定義」や「原産地呼称(ワイン産地の保護)」、そして「ラベル表示についての定め」が法の根幹とされ、ブドウの栽培やワインの醸造方法などについて体系的に定められている。日本では、ワインを含む酒類に対しての諸規制は、国税庁が管轄しており、ワインに関する法規制の中心として酒税法が定められている。但し、その内容は、法規制としては不十分なものであり、また、構成についても非常に複雑であるため、体系化されているとは言い難いものである。故に、日本は、長きにわたって「ワイン法不在の国」とされてきたのである。

しかし、近年になり、日本でもようやく、国によってワインに関する新たなルールづくりが行われるようになってきた。国税庁によって、新たに「ワインの表示ルールの策定」と「地理的表示制度の見直し(ワイン産地の保護)」がされたことは、日本ワイン法制定に向けての大きな転換点となることが期待される。私見として、「ワインの定義」や「産地保護の制度」について述べたように、国際的な基準に則った法整備を進めることはもちろん重要である。

しかし、日本のワイン造りの現場の実態に即したものでなければ、真に実効性のあるものとはならない。現在の日本のワイン産業は、原料となる国産醸造用ブドウの生産量の不足を大きな問題として抱えており、その背景には、ブドウ農家の高齢化や後継者不足による農家数の減少などがある。そのため、「性急なルールづくり」を進めていくのではなく、まずは、新たに定められた法規制が今後どのように機能していくのかをしっかりと見定めていかなければならないだろう。

講評

最優秀賞となった石井智也さんが書きあげた論文は、自身の出身地である山梨県が日本ワインの一大生産地あるということからワインと法律を結びつけ、諸外国や日本との違いなどを織り交ぜ、問題意識をはっきり持ったテーマであったという印象を読み手に強く抱かせる素晴らしいものであった。

当初、ワインと言えば欧州という点に着眼点を見出し、EUにおける法律を考察、研究を重ねたが、日本各地の現状を考えた場合、日本のワイン作りに即した法整備が好ましいという方向へ認識を変更していく場面では、現地生産者へのインタビューという地に足のついた研究が成果へ繋がっていったことが推察できる。

ワイン法というまだまだ認知度の薄いテーマのなか、参考文献を良く見つけ出し、読みやすく論理構成の整った論文ということも含め、審査委員全員一致で、最優秀作品に決定となった。

優秀賞

泉 玲衣(政治学科)「期日前投票所の設置場所と利用傾向」
能登屋 彩子(政治学科)「アフリカゾウ密猟と象牙の違法取引 ―アフリカゾウ保護の課題と対策―」
篠原 一友(消費情報環境法学科)「自然国土資源のあり方―森林と地下水が抱える法的リスク―」
楓 佐穂子(消費情報環境法学科)「全国地域婦人団体連絡協議会を具体例とした 消費者団体の社会的必要性と今後の課題」
鹿野 整(消費情報環境法学科)「電子商取引におけるシステム関与者の責任の所在 ―情報セキュリティはいかに守られるか―」