NEWS

  1. HOME
  2. NEWS
  3. 2019年度法学部入学式

2019年度法学部入学式

キャンパスライフ

 2019年度法学部入学式
 2019.4.1

 新入生の皆さん、明治学院大学法学部に ご入学、誠におめでとうございます。また、保証人の皆さまにおかれましては、ご子息、お嬢様の本学へのご入学を、心よりお慶び申しあげます。

 さて、法学部では、本学の建学の精神であるキリスト教主義の教え、「Do for others(他者への貢献)」の理念に則り、法学や政治学の教育を行っております。学生が法学部を卒業して社会に出たとき、正義・公平・弱者救済の見地から賛成できない場面に直面したとき、「声」をあげる勇気をもった人材の育成を目指しております。そのために、法学や政治学をとおして、社会のルールや仕組みについて学び、それらを使いこなす知識と思考力・判断力を身につけることを教育目標としております。

 つまり、こうした能力を駆使して、「気概」と「志」をもって社会に貢献できる人材を養成しているというわけです。

 世の中が変わっても、こうした人材が求められることに変わりはありません。実際、卒業生は、民間企業、公務員・NPO・政界、法曹・士業、自ら起業をするなど、様々な分野で活躍しています。皆さんも、こうした先輩達に続くべく、大いに学問に励んでください。

 そこで、本日は、皆さんの法学部入学に際し、法学にまつわるお話しをして、これからの学業の指針としていただきたいと思います。

 一つは、アメリカ合衆国第16代大統領のエイブラハム・リンカーンの青年時代の法律に取り組む姿勢について紹介いたします。皆さんもご存じのとおり、リンカーンは、南北戦争の激戦の1つ、ゲティスバーグの戦いの戦没者を追悼して、「人民の、人民による、人民のための政治を、地上から決して絶滅させないために、われわれがここで固く決意することである」という民主主義の基礎を主張した有名な「ゲティスバーグ演説」や、奴隷解放、南北戦争による国家分裂の危機を乗り越えたリーダーシップなどが、歴史的に高く評価され、最も偉大な大統領の1人に挙げられております。

 このリンカーンが法律の勉強を始めたときのエピソードです。ちなみに、リンカーンは、弁護士から政治家に、そして合衆国大統領にまでなった人ですが、そのキャリアの出発点は、大変貧しく、人に雇われ、昼間は労働のために、読書勉学は、夜中あるいは労働の合間、寸暇を惜しんで励んでいた青年時代のときのことです。

 あるとき、彼は靴も穿かず、路傍に積んである材木の上に腰掛け、膝の上に書物を載せて読んでいたところ、そこを通りかかった1人の農夫がこれを怪しんで、

 「あなたは何を読んでおりますか。」、英語で「readしてますか。」と尋ねたところ、

 リンカーンは、「読んではおりません。」、「readしておりません」と返事したので、
 この農夫は、「それでは、何をしているのですか。」と問うと、
 彼は直ちに、「研究しております。」、すなわち、「studyしております。」と答えました。
 そこで、農夫はさらに続けて、「何という書物を研究しておりますか。」と問うと、

 リンカーンは、「書物を研究してはおりません。」と答えた。
 さらに、農夫が、「それじゃ、何を研究しているのですか。」と尋ねたところが、
 リンカーンは、言下に、「法律!」と答えたそうです。

 このエピソードは、「栴檀は双葉より芳し」、すなわち「大成する人は幼少のときからすぐれている」という、“たとえ”として引かれますが、これに加えて、「法律家に始まり大統領に終わった」リンカーンが、そこに至ったのも、この「研究する」の一言に表れている、すなわち、「『リードread』せずして『スタディーstudy』する」に尽きる、というわけです(以上は、穂積陳重『続法窓夜話』〔岩波文庫、1980年〕59-61頁から要約)。

 皆さんも、法律学や政治学を「リード」するのではなく、自分の頭で考え、深く掘り下げる、真の意味での「スタディー」つまり「研究」を、大学で行うよう、心がけてください。

 もう一つは、入学式で必ずわたしが新入生にお伝えすることでして、これもアメリカの法学者の話ですが、20世紀初頭のアメリカ連邦最高裁判所判事で、社会学的法律学者としても著名なカドーゾという学者がおります。

 彼が名著『法の成長』(B.N.カドーゾ著、守屋善輝訳『法の成長』〔中央大学出版会、1965年〕)の冒頭で、次のような言葉を述べております。“法は安定していなければならない”、しかし、“法は常に変化しなければならない”、安定と変化のバランスをいかにとるか、これが法および法律家に課せられた永遠の課題であると。

 この言葉は、わたくし、非常に好きな言葉でして、バランス感覚の大切さを説くこの言葉は、法および法律家にとっての指針であるばかりでなく、まさにこれから法学や政治学を学びはじめる学生にとっても、こうした視点をもって学業に励むことは、非常に重要だと思います。バランス感覚を養ってください。

 この「バランス感覚」をもって、法学・政治学を「スタディー」して、「Do for others」を実践できる人になっていただきたいと思います。これこそ、明治学院大学法学部が標榜してきた真の「リーガル・マインド」の養成であると言うことができます。

 最後に、法学部を出て、将来、法曹を目指す方のために、現在進行中の法曹養成に関する改革についてお話しいたします。すでに、法学部ホームページ等で紹介しておりますので、ご存じの方もおられるかもしれませんが、現在、全国の大学の法学部・法科大学院は、弁護士・裁判官・検察官などのいわゆる“法曹”を養成する仕組みについて、大改革を行っております。

 簡単に言いますと、これまでは、法曹を目指す場合、法学部または他の学部で4年間、学部卒業後、法科大学院(ロースクール)で2年間勉強してからでないと司法試験を受けられなかったのですが、つまり最短で6年間勉強して、7年目に司法試験受験・合格という制度でした。これを改革して、学部で3年間、法科大学院で2年間、そして法科大学院2年目に司法試験を受験できる、つまり5年で司法試験受験・合格という制度に変えようという改革です。

 本学には法科大学院はございませんが、3年間の法曹養成コースを法律学科に設置し、他大学の有力な法科大学院と連携するという形で、本学においても、法曹を志望する学生のニーズに対応する制度を創設することを決定いたしました。

 そして、連携先の法科大学院として、早稲田大学、慶應大学、中央大学などの合格者を多数出している法科大学院と連携のための準備をしております。本学からも、これらの大学院に進学して司法試験に合格している先輩達がおります。ちなみに、早稲田大学とは、すでに教育連携の準備協定を締結しております。この制度は、今年度入学した皆さんから実際には始まる予定です。

 したがいまして、法曹を目指す方は、本学の法曹コース、有力な法科大学進学という道が拓かれますので、大いに精進してください。詳細は、この後の学科ガイダンスでよく聴いてください。

 それでは、締めくくりますが、大学の4年間は、長いようで短い時間です。この間に、自分をどう磨き、光らせるか、皆さん次第です。将来を見据えて大学生活を有意義に送ってください。あらゆる可能性が皆さんの前に広がっております。

 あらためて、ご入学、おめでとう。ようこそ、法学部へ。

 2019年4月1日
 法学部長 今尾 真

 

入学式の様子

 

今尾真法学部長のご挨拶

 

今年は入学式が12時30分からで、その後に学科ガイダンスが行われました。

 

法律学科ガイダンスは1101教室で行われました。

 

 消費情報環境法学科ガイダンスは1301教室で行われました。

 

政治学科ガイダンスは1201教室で行われました。

 

グローバル法学科ガイダンスは3203教室で行われました。