法学部の理念・教育目的

明治学院大学法学部は、本学の建学の精神(キリスト教による人格教育)と教育理念(Do for Others〔他者への貢献〕)を法学および政治学的見地から具体化するため、他者とりわけ弱者を尊重する「自由で平等な社会」を主体的に作り上げていくことができる専門的知識を備え、かつ、正義・公平の観点から賛成できない場面に直面したときに「声」をあげる勇気をもった人材養成を目的とする。そのために、法学や政治学をとおして、社会のルールや仕組みについて学び、それを使いこなす思考力・判断力を身につけ、「気概」と「志」をもって社会に貢献できる人材、すなわち「リーガルマインドをもった市民」(法律学科では「法律学の基本的素養を身につけ、公正かつ論理的な判断で問題解決に貢献できる市民」、消費情報環境法学科では「情報通信技術の知見を活用して消費者や環境に配慮した企業活動に貢献できる市民」、グローバル法学科では「異文化理解力・英語を主としたコミュニケーション能力・法的解決能力を有した世界市民」、政治学科では「教養ある政治的市民」へと各学科の養成する人材像に派生する)を育成することを教育目標とする。

法学部の沿革

年月日 法学部関連事項
1966年3月 明治学院大学論叢法学研究創刊
1966年4月 経済学部から法学部が分離独立(専任教員11名/入学定員 第一部法律学科300名/第二部法律学科100名)
1968年4月 法学部付属研究所として法律科学研究所を開設
1970年4月 大学院法学研究科法律学専攻修士課程(入学定員15名)を開設
1972年4月 大学院法学研究科法律学専攻博士課程(入学定員5名)を開設
1985年6月 法律科学研究所年報創刊
1990年4月 政治学科(入学定員100名)を設置
1997年3月 白金法学会設立
2000年4月 第二部法律学科募集停止
消費情報環境法学科(昼夜開講制)を設置(入学定員/昼間主 75名・夜間主 75名)
2004年4月 大学院法務職研究科(法科大学院)を開設
入学定員 80名
2005年4月 消費情報環境法学科・夜間主コース募集停止
2006年4月 特別TA制度スタート
2008年4月 大学院法学研究科法律学専攻博士前期課程募集停止
2013年4月 大学院法務職研究科募集停止
2015年4月 大学院法と経営学研究科を開設
2018年4月 グローバル法学科(入学定員65名)を設置
2019年2月 早稲田大学大学院法務研究科と法曹コース設置に向けての連携準備協定締結
2020年4月 法律学科に法曹コースを設置

法律学科の理念・教育目的

法律学科は、法律を学び、法律と歩む「真の法律家」を養成することを教育目標に掲げている。「真の法律家」とは、その職業や地位にかかわらず、リーガルマインドを備え、法的知識をもった健全な市民を指し、法律という技術をよく知り、よく使いこなすことにより、社会的責任(本学の教育理念たる“Do for others” 他者への貢献)を果たしうる人間を意味する。本学科では、リーガルマインドとは、物事の認識、善悪・是非の判断・決定過程において、法的な観点から総合的に問題解決を行う能力にとどまらず、こうした能力を身につけた学生が社会に出て、賛成し得ない場面に接したとき、職を賭してでも「声」をあげる勇気、責任をとる・筋を通す、自分の正しいと思うことを主張できる能力をも意味するものと捉えている。

こうした学生を養成するために、本学科では、変動する社会と法を冷静に見つめ、社会問題を解決する能力を育む段階的・系統的学習課程を用意していることが特徴である。すなわち、法科大学院進学、各種国家試験・資格の取得、一般企業就職、公益活動に従事する等の学生の進路・関心にあわせて、授業科目を選択できる仕組みを整えている。開講科目も、実定法分野を中心に据えて、国際的な企業活動・消費者・環境などの先端分野の科目や、法の歴史・思想・哲学および外国法を研究する基礎法分野の科目など、学科科目だけで130を超える科目を提供している。また、これらの科目から学生が段階的・系統的に学習できるよう、学科科目群による必修・選択必修制を採用し、学生の進路・指向にあわせた学習モデル策定して履修指導を行うとともに、実定法分野においては、導入→基礎→基本→発展・定着と段階を追って理解が進むようにカリキュラム構成も工夫されている。 さらに、弱者に優しい眼差しを向ける精神を身につけるとの見地から、2007年度より法律学科アクションプランとして、「成年後見法制」に関する科目群を設置して、本学学生のみならず港区民など一般市民にもこれらの講座を広く公開し、学生と市民が一体となって現在そして将来にわたる身近な社会問題に取り組むなど、本学の理念たる「Do for others(他者への貢献)」を実践していることも本学科の特徴といえよう。

消費情報環境法学科の理念・教育目的・沿革

先端分野の実践的な法律を、コンピュータ技術を活用して学ぶ。これが消費情報環境法学科のコンセプトである。“Do for Others”を教育理念とする本学で法律を学ぶ目的は、身につけた法律知識と情報技術を駆使して、社会で法的紛争に直面している人々を助け、私たちの生存に不可欠な自然環境を守り、社会的弱者の境遇を改善するために奉仕することにある。本学科では、その具体的な適用場面として、卒業生が社会で実際に直面する先端分野の法律問題である、

①消費者法、 ②企業活動法、 ③環境法
の3分野を中心にカリキュラムを組み立てており、現代社会で起きる様々な問題に適切に対処できる応用力を備えた人材の育成を学科の教育目標としている。

また、先端分野の法律問題は、その内容が急速に変化、発展していくことを特徴としており、本学科ではこれを効率的に学習するために、コンピュータネットワークの技術を活用している。コンピュータを用いた情報の収集・処理・発信の技術を「道具」として使いこなし、情報の洪水に押し流されることなく、自ら主体的に情報を取捨選択できる能力を養うことをも、併せて教育目標としている。

政治学科の理念・教育目的

政治学科では、専門的知識を学ぶことに加えて、常に現実の社会との接点をもてるようにカリキュラムを工夫し、「教養ある政治的市民」の育成を教育理念・目的として掲げている。「教養ある政治的市民」とは、言うべきときに言うべきことを言える人間であり、さらに、言うべきことが言えない境遇にある人々に代わって発言する勇気と、他者への境遇への共感と想像力をもつ人間であると考えている。

公共・公益を肌で感じ、行動できる人材を育成するために、政治学科では、
①少人数で学ぶ、
②理論と社会の現実の両面から学ぶ、
③参加・活動から学ぶ、
④社会での活かし方に対応して学ぶ
という特徴を有し、社会を感じとるための様々なカリキュラムを作っている。

少人数制の特徴は、1年次のゼミ形式の演習や3・4年次のゼミ演習に、理論と現実の両面を知るという特徴は、フィールド調査・活動の報告書を作成するフィールドワーク、ゼミによるフィールド調査、実務家によるリレー講義形式の総合講座(読売新聞社等との連携)、政治家を招聘しての講演会等に表れている。また、参加・活動型プログラムの特徴は、1年次の少人数ゼミを単位としたゼミ対抗の発表・討論会、企業等での就業体験を行い報告書を作成するインターンシップ、3・4年ゼミによる他大学等とのインターゼミ等に表れている。

さらに、討論会の開催を教員が主導するのではなく、上級学生が企画から運営までを行ない下級生の討論の指導も担うという点は、本学科のユニークな特色であり、こうした柔軟なプログラム運営の下で、社会と関わりながら、学生の自主性と自主的研究を促進することができると考えている。そして、何のために学ぶのかという問題意識を涵養する人材を送り出すために、社会での活かし方に対応するようなカリキュラムの系統化も行なっている。

グローバル法学科の理念・教育目的

グローバル法学科は、“Do for Others(他者への貢献)”という本学の教育理念のもとで、「柔軟な異文化理解力」と「実践的なコミュニケーション能力」に裏付けられた「法的な解決能力」を駆使して、様々な分野で「グローバル人材」として活躍することのできる人材の育成をめざす。すなわち、法的な知識と解決能力を身につけ、「世界市民」としてグローバル社会において活躍しうる「グローバル人材」の育成を教育目的とする。

この教育目的を実現するために、グローバル法学科は以下のような特色をもったカリキュラムを提供する。
(1)全員が2年次秋学期に英語圏に留学し、実践的に英語・法律・文化を学ぶ。留学先では現地の法律を英語で学び、人々と触れ合う中で異文化を体験し、グローバルな視野を持った法的な解決能力、コミュニケーション能力、異文化理解力を実践的に養う。
(2)グローバル時代に必要な法的解決能力を修得する。1年次の基礎科目では少人数・個人指導によりプレゼンテーション、ディベートなどのアカデミック・リテラシーを身につける。また、日本法を英語で学習する授業や、 法学基礎分野・国内法分野・国際関係法分野・国際政治経済分野など幅広い学びから「グローバルな法的解決能力」に不可欠な知識を修得する。
(3)学科オリジナルのカリキュラムで英語を学ぶ。留学を軸とした学科独自の英語カリキュラムで、法律英語と「聞く」「話す」「読む」「書く」の英語4技能を修得する。
(4)1年次から少人数かつ双方向で学ぶ。学生65名に対し、専任教員は8名・兼担教員は2名が指導。4年間を通じて教員が学生と密接に関わり個別に指導できるスタイルで授業を展開する。

グローバル法学科は、以上のような特色あるカリキュラムに基づいて、本学の理念である「Do for others(他者への貢献)」をグローバル社会において実現できる人材の育成を究極の目標としている。