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タイ王国スタデイーツアー2019  参加報告

白金法学会

「タイ王国・スタディツアー2019」が平成31年3月25日(月)~ 4月2日(火) に実施されました。

 このプログラムは、タイで行われる青少年健全育成プロジェクト「For Hopeful Children Project(FHCP) 2019」に参加し、ボランティア・スタッフとして現地実行委員と協働するスタディツアーです。
 FHCPでは、タイの孤児や障がいを持っている等の理由で社会的に恵まれない状況にある子供たちを「希望あふれる子供たち(Hopeful Children)」と呼び、普段は施設等で生活する子供たちに海軍の協力の下、数日間にわたり、ワークショップや海水浴体験等の機会を提供するもので、このプロジェクトへの参加を通じて、自分たちを思う人の存在に気づき、自信をもって育ち、競争社会においてしっかりと成長するきっかけとなることをねらいとしています。今回は、6名の学生をこのプログラムに派遣いたしました。学生たちの「タイ王国スタディーツアー2019」の参加報告を掲載いたします。

 

【タイ王国スタディーツアー】

安藤 恵海

<はじめに>
 今回のスタディーツアーに応募しようと思った動機は、SDGsといったグローバルなエシカルな取組に興味があり貧困などの発展途上国の情勢やどのように取り組みがあるのかを知りたいということや、”Hopeful Children”という考え方に共感しどのような活動を行っているのか学びたいという2点があった。本プログラムでは、FHCP・ムーバンデック・タンマヌラック・フォルデックの4か所を訪問した。

<FHCP>
 FHCPはタイ中の施設の子どもたちが年に一度海軍の施設に集まってお祭りのように交流したり、戦艦でのクルーズなどのワークショップや海水浴といった様々な新鮮な体験をしたりすることのできるイベントである。私たちは各施設に入り他のスタッフたちとイベントのお手伝いをした。私はブラインドチルドレンの施設を担当した。主な内容としては、子どもたちの食事や移動や海水浴の補助である。私はいままで目の見えない方とかかわったことがなく予備知識が少なかったことや、ジェスチャーではなくあいさつ程度しか使えないタイ語でコミュニケーションをとらなければいけないことで最初は不安が大きかった。そのため、他のスタッフや施設の先生に子どもたちとコミュニケーションをとるために必要な行動やタイ語を教えてもらい、食事、移動、海水浴などをした。子どもたちが海水浴やイベントで楽しんでいる姿を見てFHCPの意義を感じることができた。”Hopeful Children”は全ての子どもたちは希望にあふれていて、どのような環境・背景があるとしても公平であるべきというものである。目が見えないからといって無理ということはなく誰でも周りの補助さえあればあらゆることをすることができるのである。今回の経験を通してその意味を深く考えることができた。

 

▲左 戦艦でのクルージング、右 日本人メンバーがソーラン節を披露

<ムーバンデック>
ムーバンデックは基本的に8歳から18歳の様々な理由により親元で生活できない子どもたちが生活・学習する施設である。ここでは自立を大切にしており朝から夜まで自分たちで行動したり、将来のために将来のためのお金の管理をしたりしている。また授業の中には職業体験があり、仕事やものづくりなどを行うものもある。私たちは子どもたちと川遊びや遊具遊びなどで交流をしたり先生や生徒へのインタビューや施設の見学などで学習したりした。また自然の中に施設があるため自然の中の生活は新鮮なものであった。子どもたちと交流して子どもの間や先生と子どもの間で強い信頼関係があることが印象に残った。私たちより若い生徒がより年下の生徒の面倒を見ていたりお互いの困っていることを率先して手伝っていたり場面をよく見かけた。インタビューをしたときに先生は「授業では先生だが授業以外ではみんなのお母さんだと思っている」、生徒は先生やスタッフに感謝をしていると話していた。また将来の夢を実現するために先生の支援や生徒の努力を知ることができた。ここで出会った人々の姿や考え方を見習いたいと思う。

<タンマヌラック>
タンマヌラックは宗教の施設である。また地域の特徴から少数民族の子どもたちも所属している。ここでは出家をして白や橙色の袈裟を着ている子どもたちとまだ出家をしていない子どもたちが一緒に過ごしている。私たちは子どもたちと遊具遊びで交流した。私が印象に残ったのはこの施設では子どもたちの出家の時期を子どもたちにゆだねているということだ。小学校の低学年ほどで出家をして袈裟を着ている子もいた。自分の小学生のころと比べると将来のことを何も考えてなかったので自分で決めて出家をした姿に驚いた。


▲タンマヌラックの子どもたちと折り紙を折っている場面

<フォルデック>
フォルデックは貧困の子どもたちが来る幼稚園のような施設である。子どもたちと交流した後一緒に下校をし、居住地を訪問させていただいた。子どもたちが住んでいるところはテントのような一時的なところであり、立ち退き命令により毎年場所を移動させられているところもあるということを聞いた。施設で交流しているときは子どもたちのきらきらとした笑顔を見て貧困といってもそこまでではないだろうと思っていたが実際訪問してみると想像をはるかに超える光景がそこにあり衝撃が残った。近くには高層マンションが建っており、近くの環境でこんなにも貧困の差があるのかと思い知らされた。

▲左 交流の様子、右 周辺の居住地

<まとめ>
 4つの施設を訪問してそれぞれの団体がそれぞれの目的で支援していることがわかった。また、動機としてあった“Hopeful Children”の意味を深く知ることができた。この活動をする前までは貧困などそれぞれの問題を抱えている子はあまり幸せではないのかなと心の片隅で思ってしまっていたことに気付いた。実際に一緒に生活をして子どもたちの笑顔を見ているときらきらと輝いており、考えていることも年上の自分よりもしっかりしている子もいるように感じられる。タイや日本だけじゃなく世界中のすべての子どもたち・すべての人は背景を関係なしに平等でなければいけなく、希望を持つことができるのである。それを実現させるために私たち大人が何らかの支援をすることができるのではないかと考えた。例えばFHCPで兵士に出会って将来軍隊に入りたいと思った子どもを見かけた。その夢を持つことができることも支援の一つである。支援の形は多岐にわたっており、これから募金などの金銭的な協力を含め“Hopeful Children”の理念を実現できるようなアクションを続けていこうと思う。
 また、今回の活動ができたことは直接的、または間接的に様々な支援や協力をしていただいたからであると考える。まず、訪問させていただいた施設が受け入れてくださり環境を与えてくださったからこそこのような活動ができた。また、直接かかわっていない方々の支援もあったからこそ活動が成り立っているのである。この様な当たり前なことを気付けたことも自分にとって大きな進歩だと考える。これから、生活するうえでかかわっている多くの人に感謝し、また他の人に支援をできるように生活をしていきたいと思う。

 

【タイ王国スタディ-ツアー】

遠藤 美里

 3月25日から4月2日にかけて行われたタイ王国スタディツアー2019に参加しようと思った動機、プログラムの内容、自分がこのプログラムを通じて学んだことを以下叙述する。
 私がタイ王国スタディツアーに申し込んだ一番の理由は、宇戸清治先生のタイ語の授業を受けていたため、語学研修になるのではないかと思ったからである。自分の学んだ語学がどれほど通じるのか試す機会はなかなかないと思ってこのツアーの応募に踏み切った。
 3月25日は参加者との顔合わせ、夕食会、パフォーマンス練習が行われたため、本格的にプログラムが始まったのは3月26日からである。
 3月26日から3月28日まではチョンブリー県にあるサッタヒープ海軍施設で開催された青少年健全育成プロジェクトFHCP(For Hopeful Children Project)2019にボランティアスタッフとして参加した。このプロジェクトは孤児、被虐待児、障がいを持っている子どもたちなど、社会的困難を抱える子どもたちが海水浴体験、アドベンチャー体験、パフォーマンスなどをするお祭りのような雰囲気で行われる一大イベントである。早速私はこのプログラムで最大の困難に直面した。それはFHCPでは様々な国からボランティアスタッフが来ていたため、スタッフとの会話は全て英語で行われていたことである。私は、大学に入って必修の授業を取り終えたあとは英語の勉強を怠っていたため、単語を発することが精一杯な状況であった。実際に共通言語として英語が使われている場面を初めて見たため、英語の重要性を感じ、自分の実力不足な部分を見つめ直すきっかけとなった。周りの日本人スタッフや他国のスタッフの優しさに助けられつつ、子どもたちと折り紙、縄跳び、塗り絵、フラフープ等で遊んだり、海水浴や戦艦乗船体験をしたり、子どもたちのパフォーマンスを鑑賞した。初めて会う子供たちを楽しませてあげられるか、笑顔にさせられるか不安だったものの、子どもたちが楽しそうに遊んでいる姿や元気にじゃれてくることに対して自分の方が子どもたちから元気や笑顔を受け取っている感覚だった。27日にはスタディツアーに参加している日本人メンバーとソーラン節を披露した。大勢の子供たちを目の前にしてステージで踊ったため、最初は緊張したが、子どもたちが楽しそうに真似して踊っている姿を見て達成感と喜びで満たされた。
 3月29日から3月31日まではカーンチャナブリー県にある子どもの村学園ムーンバンデックで宿泊し、子どもたちの日常に触れながら川遊びやレクリエーションなどをした。ムーバンデックにいた子どもたちは自分よりも年下であるのに自立している姿がとても印象的だった。学園内には農作物や鶏などを育てていたり、藁のような原料から紙を作っていたりした。自分たちの食べるものを自分たちで作っていることや、自分たちが作った紙を使って学習していることを知ったときは驚いた。他にも自分たちが創作したものをたくさん販売していてノート、手提げ、タオル、バッジなどがあり、手作りであるのにとても完成度が高く温かみが感じられるものばかりであった。

▲ムーバンデック:子どもたちが制作した手提げ

 3日間Wi-Fiやクーラー、コンビニが無いような大自然の環境で、子どもたちと川遊びやお絵かき、ダンスなどをしているときは楽しくてあっという間に時が過ぎたが、夕日が沈む頃の夜ご飯や夜の星空を眺めている時はゆったりした時間の流れを体感した。日が昇ったら起きて、日が沈んで暗くなったら寝る、いつの間にかそんなことすらできない日が日常になっていたことに気づいたり、自分のためでも誰のためでもない時間を過ごしていないかということを見つめ直すきっかけとなったりした。また、自分が毎日科学技術の恩恵を受けていることが分かり、科学技術が無ければ生きていけないと痛感した。しかし、決して科学技術に頼ることに対して否定をしているわけではない。ふと日常を振り返った時に便利な環境に囲まれているのに窮屈さを感じていたり、時間に追われていたりしていたら生活を振り返ることを心がけたい。
 3月30日はカーンチャナブリー県にあるタンマヌラックへ訪問した。タンマヌラックは少年僧と尼僧の養護施設である。袈裟を着た少年僧、尼僧もいれば私服を着ている子どもたちが居て自分が想像していたかたい雰囲気をしている施設ではなかった。服装にばらつきが出ることは出家するタイミングが人それぞれ違うことを示す。なぜ出家するタイミングが違うかというと本人の意思で出家を決意するからである。私は僧侶についてあまり知識がなかったことや、家族が信仰している宗教に対して自分の信仰心が薄いことからか、出家は厳しい修行や剃髪を行い、家族の元から離れていき、質素倹約な生活を送っているのではないかとやや他人事のように考えてしまっていたため、その決意がどれほど凄いことであるのか初めはあまり理解できなかった。しかし、調べていくうちに自分よりも年下の少年少女、子どもが宗派により様々ではあるものの出家する際に家族と縁を断ち、修行が始まると生き物を殺さない、言わば食べられるものが限られていることや娯楽を求めないことなどといった戒律を守らなければならないため相当な覚悟が必要であるとわかった。養護施設であることを考えると中には両親がいない、虐待を受けていたといった養護を必要とする子どもたちが多くいるとは思うが、家族と離れることを受け入れることは彼らにとって辛い、悲しいだけでなく複雑な思いや葛藤を抱いているのかもしれないと思った。
 4月1日は朝早い時間帯にムーバンデックの子どもたちとお別れをし、サムットプラーカーン県にあるFORDEC幼稚園へ訪問した。低所得者層の家庭の子どもが預けられている児童養護施設である。FORDECではドラえもんのTシャツが制服であるため、服装から貧富の差を感じず、普通の幼稚園となんら変わらない様子であった。初めは子どもたちと恋するフォーチュンクッキーやタイの童謡のような曲に合わせて一緒にダンスをし、日本人メンバーによるソーラン節を披露した。その後は約12人の園児のグループを2人で担当し、私は折り紙やお絵かきをして楽しんだ。自分が担当した園児が年少グループであったため、なかなか自分がしようとしていた遊びと違うことをしていて戸惑った。折り紙を教えようとしてもじっとしていないでどこかに行ってしまったり、自分の手元にあったペンをいつの間にか使って折り紙の裏に絵を描き始めたりする様子を見て、1人1人の子どもがしたい遊びに合わせることに必死になった。子どもたちが真剣に絵を描いたあとに自慢げに見せてくる姿がとても可愛かったことが印象的だった。子どもたちと遊び終わったあとはFORDECに通っている子どもの住宅を1軒訪問させていただいた。このプログラムの中で一番印象的な光景だった。なぜならば高校時代の英語の教科書に載っていた貧困問題のページにあった光景に似ていたからだ。家が薄い板を乗せて雨風を凌げるような最低限の作りで、家の周りにはプラスチックの破片のようなものや、お菓子のゴミ、ビニール袋などがありとあらゆる所にたくさん落ちていた。靴を買うお金が無くて小さな子どもがそのような環境で、裸足で歩いていてとても危険な状況であった。貧しい国の状況を知っていたにも関わらず何もしようとしてこなかった、知ろうとしなかったことに対して自分に嫌悪感を抱きつつ、住民の方の話を傾聴した。4月1日の夜には夕食会を行い、プログラムが終了し、4月2日バンコクで現地解散した。

 今回のプログラムに参加する前は子どもたちに何を与えられるか、自分はタイ語を学ぶ以外に何を得られるかがわからなかった。また社会的困難を抱える子どもたちの助けになれるのか不安で申し込む時に長い時間悩んだ。しかし、参加していくうちに様々なバックグラウンドがある子どもたちが楽しそうに遊んでいたり、笑顔で自分に接してくれたりして不安に思っていた気持ちは吹き飛んだ。そして子どもたちに精一杯楽しんでもらえるように遊ぶことに全力を尽くした。子どもたちと遊んだことを振り返ってみると、過去の経歴、障がいの有無、肢体不自由といったハンディキャップは誰かの手助けにより周りにいる子どもと何も変わらない状況になると感じた。子供が自分の立場に対して引け目を感じない、誰かの手助けによって自信を持つようになる、子どもたちが笑顔になることを私たちがサポートすることが子供たちへの希望へつながっていくのではないかと思った。一度きりの活動にしないで持続してサポートができるように自分の気づきを周りの人に伝えてボランティア活動の促進をしたい。また自分の課題を克服し、より知識を深めてボランティア活動ができるように視野を広げて精進していきたい。

 

【タイ王国スタディーツアー】

加古 明里

・参加動機
 私は高校1年生のときにモンゴルの孤児院を訪れたことをきっかけに国際ボランティアにとても興味がありました。今まで現地へ足を運び、恵まれない環境にいる子供たちの力になりたいと思いながらも、行動出来ずにいました。そのような中で、このタイスタディーツアーのことを知り、この様な機会はこの先ないのではないかと思い、こういうチャンスが巡ってきた環境に感謝し参加しました。しかし、タイへ実際行くまでは、衛星のことが不安であったり、本当に子供達のためになれるのかという想いでいっぱいでした。その中で、私は3つの大きな目標を立てました。「子供たちと仲良くなる」「引っ込み思案な自分を変える」「タイスタメンバーと仲良くなる」の3つでした。これらの3つの目標を達成するために10日間過ごしていましたが、タイスタディーツアー を終えてから目標達成の大事さよりも価値あることを学べたことに気づきました。今までに抱いたことのない感情をたくさん感じた10日間であったので、それぞれの場面を振り返っていきたいと思います。

・FHCP(For Hopeful Children Project)
 タイへ着き初めて子供と触れ合ったのがこのFHCPでした。FHCPは、タイの全土各地から恵まれない子供たちを招くお祭りです。タイの海軍によって様々なアトラクションが準備され、ボランティアの方々によって美味しいご飯が準備され、子供たちによる出しもの発表もあり、子供たちにとっては1年間心待ちにした3日間のお祭りです。私はFHCPでカトリック系の施設の女の子たちを担当しました。タイ人スタッフとコミュニケーションを取りながら子供たちと接するため、初日は言語の壁を感じ、正直この先やっていけるのか不安になり子供たちと接する余裕はなかったです。2日目からは自分の殻を破りタイ人スタッフ・子供と接することに徹しました。ある10歳の女の子が私に懐いてくれて、折り紙を一緒にしたり、子供達の発表を一緒に見ました。目の前の女の子が笑顔でいてくれる姿を見た時、この子の心の中に自分がいるのだと身に染みて感じました。こんなに心優しい子達が普段は何を楽しみに生きているのか。ただ淡々と集団生活をしているのか。自分の親のことを知っているのか。と色々思い、このFHCPが終わってしまったら現実に引き戻されるこの子が可愛そうというか、一年に一度ならこの子のために来年も来なければならないと感じました。明日もこれからもずっと近くで寄り添って見守りたいけど出来ないのだと実感して、この子の将来のためになることをしてあげられたのか。この子は今幸せなのか。何度も自問自答してその答えが出ずに何度もへこんだが、この子の人生の一瞬になれたことそしてこの子に出会えたことが幸せだと感じた1日となりました。感じること考えさせられることが多く、寂しさなのかこれからのこの子達の将来への不安なのか、涙が止まらなかったです。すでに自分の人生で学ぶべきこと気づくべきことに気づかされたと思っています。この子達の人生に自分がいることができたならそれは心から幸せであり、これからもこの子達に幸せがずっと訪れてほしいと切に願います。

▲FHCPで出会った子供たちと

▲タイ人スタッフと

・Moo Baan Dek
FHCPが終わり、一度バンコクへ戻り一泊した後、カンチャナブリ県にあるMoo Baan Dekへ向かいました。ここの施設は子供の自主性を大事にしており、自給自足に近い生活をしています。ここで生活を送る上でのルールも自分たちで会議を開き決めます。正直、この施設を訪れるまでは施設というのは閉鎖的で全て先生が厳しく監視していて子供たちにあまり自由のないイメージでしたが、ここの施設を訪れたことで見方が180度変わりました。18歳の2人の少年にインタビューする時間が設けられ、様々なことを聞くことができました。私が18歳だったときは、明確な将来の夢がないなか当たり前の様に大学受験をしていました。彼らはミュージシャンと兵士になりたいという夢を持っていました。夢を語る彼らの目は希望に満ち溢れていてとても輝いていました。彼らが発した言葉の中で印象に残っている言葉があります。それは「充分学校には支援してもらっているから、これから自分が学校のために貢献したい」「今後ボランティアで来てくれる人から教育資金が入ることで後輩たちはより勉強ができる環境になることが嬉しい」という言葉です。日本では学校が行けるのが当たり前で、親がお金を払ってくれているからこそ勉強できることの有り難みを忘れていましたが、彼らの言葉を聞いて自分の今までの人生はどれだけ恵まれていたのか、どれだけ感謝しなければいけない環境なのか気づかされました。

▲Moo Baan Dekの子供たちと

▲川遊び

 

【タイ王国スタディーツアー】

棚瀬 美智瑠

・動機
 私が今回このタイ王国スタディーツアーに参加しようと思ったきっかけは、国際交流に以前から興味があり外国の人々と交流する事で自分自身の視野や考え方が広がるのではないかと考えた。また子供が好きで外国の子供達と一緒に遊び仲良くなってみたいという気持ちがあり今回の参加を決めた。

・FHCP
 FHCPはタイの海軍基地で行われる年に一度のお祭りである。FHCPには様々なバックグラウンドを抱える子供達や障害を持った方が集まる。私は貧しい暮らしをしている子供が多く集まる施設に通う子供たちを担当する事になった。応募した時は子供達との交流を楽しみにしていたが、いざ子供達を前にすると言語という壁があり、どのように接すればいいのだろう、お互いの言語を理解できないのに仲良くなれるのかなと悩んだ。しかし、子供達は言語の壁など気にせず喋りかけて来てくれた。はタイ語を理解するのはとても難しかったが、理解するまで何度も説明してもらい私は様々な事を教えてもらった。言語が理解できたらもっとたくさんの話をできたと思うし悔しい気持ちはあったが言語を理解する事が全てではないということを学んだ。ジェスチャーなどでコミュニケーションを取ることにより相手のことを理解する事ができ、またそれを通して子供達との仲を深める事に成功した。

・ムーバンデック
 ムーバンデックでは様々な理由を抱えた子供達が協力して集団生活をしている。ここでも子供達は積極的に話しかけに来てくれてジェスチャーなどを使いすぐに仲良くなる事ができた。子供達とは一緒に川へ飛び込んだり、綱引きをしたり踊ったりして楽しい時間を過ごした。ただムーバンデックにいる子供達も何らかの事情があってここに来ているのだなと思うと少し複雑な気持ちになった。様々な事情があったにも関わらずこの施設で自分のことは自分でやり、友達や年下の子供が困っていたらそれを助ける。辛い経験をしているのにも関わらず周りのこともちゃんと見ている子供たちを見習わなければならない。もし自分だったら自分の事で精一杯で周りの事を考える事はできないと思う。このような生活を自分よりも年下の子供達が送っているという事に自分は今まで甘えた生活をしていたなと感じさせられた。ムーバンデックでの生活は日本とは全く違う生活で戸惑うこともあった。日本で生活していると全てが揃っていて、それが当たり前でありそれに対して幸せだな、充実しているなと感じる事は少なかった。ムーバンデックで生活してみると今自分が置かれている環境がどれほど恵まれていて、その環境に感謝しなければならないのかということを気づかせてくれた。ムーバンデックに着いた時はここで3日間生活するのは体力的にも精神的にも少し辛いかもしれないと思った瞬間もあったが、子供達や日本人ボランティアスタッフのお陰で楽しむことができた。ここでの生活は私の中で忘れられない経験になった。

・フォルディック
 フォルディックは私がFHCPで担当した子供達が集まっている施設だ。ここの子供達は貧困や何らかのバックグラウンドを抱えた子供達が集まっている。FHCPで子供達とは仲良くなっていたので私はまたフォルディックの子供達に会えるのを楽しみにしていた。フォルディックに着いた時子供達は私の名前を呼び抱きしめてくれた。再び会えた事の喜びと私たち日本人が来た事に対して喜んでいる姿を見て本当に嬉しかった。ここでは子供達が普段どのような生活をしているのか家を見学させていただく機会があった。実際に子供達の家を訪ねるとここで本当に生活をしているのかと疑ってしまうほどの光景だった。家具などはほとんど外にあり地面は一面ゴミだらけ。そこを裸足で歩く子供。日本では考えられない光景だ。FHCPやこの施設でとても楽しそうに笑顔で遊んでいた子供達はこのような環境で生活している事を感じさせないほど元気でエネルギーに満ち溢れていた。ここで生活している子供達が将来どのように成長し生きていくかはわからない。貧富の差により苦労する可能性もある。そういった中で子供たちの笑顔がなくなってしまうかもしれないと考えると悲しくなった。将来がある子供達のために何か力になる事は出来ないか、考えても答えは出なった。この先考え続けてもこの答えが出るかはわからない。答えが出たところでそれを自分が実行出来るのかわからない。ただこのような気持ちになれたという事は大切にしていきたいし、こういった現状がありそこで暮らしている人々がいるという事を決して忘れてはいけない。

・感想
 タイは多くのビルやショッピングセンターがあり、キラキラした国だと思っていた。タイ王国スタディーツアーに参加しそれが全てではないという現実を自分の目で直接見る事ができた。首都であるバンコクにも私たちの想像を超える貧困生活をしている人々がいる。また、子供達が協力して生活している施設があるという事も知れた。普通に旅行に来ただけでは知る事が出来なかった事である。
子供達と出会って自分の無力さを痛感し、私はボランティアでここに来ているのに自分が子供達からパワーをもらってばかりだなと感じていた。遊びや子供たちのお世話をする事以外何もする事が出来ないと思う事が多かった。私は子供達に何か与える事ができたにか疑問だが、一緒に生活し遊ぶ中で何らかのパワーを子供達に与える事ができていればいいなと思う。日本では体験出来ないこの貴重な体験は自分自身を成長させたというのは大袈裟だが、この期間で感じた悔しさや喜び、子供達から貰ったパワーは今後の学校生活や社会生活で支えになると思う。またこのような機会があれば積極的に参加していきたいし、友達や後輩にも是非参加してもらいたい。

 

【タイ王国スタディーツアー】

腰越 茉奈

〈参加動機〉
 このスタディーツアーに参加した理由は、今まで海外ボランティア活動をした事がなく、まだ踏み込んだ事のない世界を実際に自分の目で見て感じたいと思ったからだ。3年の終わりという事もあり、社会に出る前にやっておけばよかったという後悔を残したくないことから、自分には何ができるのか、考え方を広げる事を目的とし参加するに至った。

〈FHCP〉
 プログラムの最初はFHCPだった。これはウィスィットさんが恵まれない子供達に何かできることがないかと、始めは1人で始めたボランティア活動だったが、今では海軍の協力を受け、サタヒープの海軍施設に招いて行われるという大規模プロジェクトとなった。タイ王国全土にいる孤児や難民、少数民族、障害を持っている子供達など社会的困難を抱える子供たちを、「希望あふれる子供たち(For Hopeful Children Project)」と呼び、各地からの交通費、食材、FHCP運営に関わる全てが海軍はもちろん、多企業や団体・個人からの寄付で賄われている。様々な困難の中で生きている子供達にも、自分たちを思う人の存在に気付くことで、自信を持って育ち、競争社会においてもしっかりと成長するきっかけになることを目的としている。今年で29年目となった今では、総勢1000人ほど集まり、年に一度のビッグプロジェクトとなった。

〈ムーバンテック〉
 ここでは孤児や、貧困あるいは家庭崩壊などの事情を持つ子供達を預かっている、いわゆる子どもの村学園である。私たちはここで三日間泊まり、実際に子供たちの住んでいる所の一部を借りて、普段の子供達の生活を実感した。昼は暑く必要最低限以外は何もないと言っても過言ではないが、夕方には景色が良く、夜は涼しくなり、空にはたくさんの星が見える中での集団生活はとても心が休まった。子供達は週に一度のおやつの時間も、本当はとても食べるのを楽しみにしているはずなのに、自分のことよりも私たちのことを優先に考え、分け与えてくれた。これは、お互いを助け合うという生活をしているからこそ自然と考えられることだと思い、子供たちとシェアして食べたおやつはとても美味しかった。便利だけが全てではないと感じた。

〈タンマヌラック〉
 ここでは、様々な事情を持つ子供たちの孤児院であるが、将来僧や尼僧を目指すための子供達がいた。出家のタイミングは年齢や条件が決まっているわけではなく、自分で時期を決めるという自主性を重んじていると感じた。中には10歳にも満たない子でも出家を決断し、厳しい戒律の中で生活しているのを見て、自分の行動に責任を持って生きていることを感じた。

〈フォルデック〉
 ここではFHCPで担当したビルディングで仲良くなった僧や子供達がいた。バスから降りるとたくさんの子供たちがお出迎えをしてくれて、日本から来てくれた事に対してとても喜んでくれた。フォーチュンクッキーダンスを踊ったり、遊んでいる時はとても笑顔で元気が良かった。その後実際に子供たちが住んでいる家を見て、衝撃を受けた。さっき笑顔で遊んでいた子供達が住んでいる家と呼ばれるところはまるで、日本の東日本大震災が起こった後の状態の様だった。雨で屋根が崩れてしまったためにビニールシートで屋根を作っており、家の周りは木材が整理されておらず、とても住むには適しない環境だったからだ。この貧しさによって、未来で輝ける可能性を秘めている子供達にも影響するのは悲惨なことであると感じた。

〈全体の感想〉
 各施設で共通している事は、貧しい環境の中でも子供達は生きようと前向きに生活している事だった。家と思えない場所で生活しており、日本では当たり前として子供が持っている携帯さえ持っていなかった。1人では生きていけないからこそ、周りの人とともに生きて行く大切さを改めて感じた。
 また、FHCPで出会った子どもの事で大きく感じた事がある。その子供は、FHCPの時に私に折り紙で鶴を折ってくれたので後日その子のいる施設に行った時にお返しをしようと考えていたが、その時にはもうその子の姿はなかった。このスタディーツアーに参加している人を含め、この短い人生の中で、世界で出会う人は本当に奇跡であり、出会う事を当たり前と思ってはいけないと感じた。
 どの子供も様々なバックグラウンドがある中で出会えていることを忘れてはいけなかった。まだ4歳ほどの子供が理由なく泣いている姿を見て、笑顔の子供は多かったが、辛く悲しい過去に何があったのか、寄り添うことができないことにもどかしさをも感じた。
 正直参加しても、1人増えただけで何か大きく変わる事がないと考えていたが、それは間違いであった。毎日過ぎていく時間の中で、こんなにも心の中で多くの感情が行き交うのが懐かく感じた。もし忙しい事を理由にスタディーツアーの参加を拒んでいたら、環境や周りの人に恵まれていることを忘れ、ただ現状に不満が募り、幸せを幸せと感じることはできなかった。貧しさ故に人と協力して生きて行くことの大切さこそ、私たちが当たり前として様々な隔たりを理由に避けている事で、失っているものの大きさに気づく事ができないのだと感じた。今回スタディーツアーに参加して、人が幸せと感じることは人それぞれであり、今回で言えば、私たち日本人が施設に訪れ、子供達の幸せになれていたら、とても嬉しく思う。
 全ての人間は生まれながらにして皆等しい、はずである。途上国に生まれたからといって教育が受けられないのは不平等であり、改善していくことは容易ではないが、大いに必要であると感じた。今回に留まらず、他の国にも足を運んで、経験の中で感じたことを人に伝えていこうと強く思った。

 

【タイ王国スタディーツアー】

朴 孝美

 私がこのタイスタディーツアーに参加した目的は、子どもと積極的に触れ合うことで、タイの児童養護施設がどういったところなのかを知ることでした。タイへの渡航は今回のスタディーツアーが初めてで、タイという国自体が未知のままいくことになったため、国の文化や国民性なども知りたいと思いました。

 このスタディーツアーでとりわけ印象深かったのは、首都バンコクから3時間ほどバスで移動したところにある、ミャンマーの国境近くのカンチャナブリ県に所在する児童養護施設ムーバンデックで過ごした4日間です。都市部からかなり離れているため、敷地面積も広大で、独立した印象でした。ムーバンデックでは「学校のための子どもではなく、子どものための学校」という理念を掲げおり、子どもの主体性を育むため、様々な取り組みがなされていました。例えば、施設内のルールや罰則を決めるためのミーティングが毎週開かれていました。とてもリベラルな印象の施設だと感じました。ムーバンデックでは、基本的に自分のことは自分でやる生活スタイルなので、8歳以下の子どもはおらず、上は18歳までの子どもたちが生活していました。

 ムーバンデックでは、子どもとの交流の時間だけでなく、先生、子どもへの質問の時間を設けてくださったことで、制度や内面的なものへの理解への一助となったため、とてもありがたかったです。
 ムーバンデックで過ごす子どもたちの印象として、まずとても気さくでフレンドリーな印象をうけました。また、彼らは細かい気付かいやホスピタリティ精神にあふれていると感じました。例えば日本人メンバーの朝食のために朝6時に起きて準備をしてくれたり、ペットボトルの水を分けてくれたりと、具体例を挙げると枚挙に暇が無いのですが、見ず知らずの外国人である私たちをとても優しく歓迎してくれました。また、おもちゃを自分自身で工作したり、川で楽しそうに遊ぶ姿を見て、子どもたちはその場にあるもので楽しむ天才だと思いました。子どもたちのこういった姿勢から、常に新しいものを直に欲しがる資本主義の社会の中で、物を増やすことで満たされるのではなく、今あるもので満足し生活を楽しむという心の持ち方を学べました。

 このスタディーツアーでは、継続的に毎年同じ施設に訪れることで、子どもたちと日本人メンバーを受け入れ易く、良い関係性を築くことができました。9日間という短い期間でしたが、タイについて、タイの児童養護施設についてを少し知れた9日間となりました。