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白金法学会

白金法学会論文賞

 

2024年度 白金法学会論文賞審査結果

1.総評

今年度は、次の5つのテーマから1つを取り上げ、具体的問題点を踏まえて、その法的課題や解決策等について論じて下さいというものでありました。

 

①離婚後の子どもの共同親権の意義と課題について

②前近代日本における法と社会

③急激な人口減少社会の政策提案

④裁判手続におけるIT技術の活用について

⑤自分が最も関心ある法的または政治的な問題について(※自由論題―1,2年生限定)

 

今回の応募総数は、テーマ①と③の2件でありました。

 

【審査経緯】

 論文審査は、白金法学会の役員によって行われました。教員役員4名がそれぞれ審査にあたりました。審査員の評価を取りまとめたのち、最終審査会は教員役員によるメール稟議にて厳正な審査を行いました。その結果、下記の通り、最優秀論文賞及び優秀論文賞について該当者はありませんでしたが、奨励賞を2名の者に授与することと致しました。

 

【講評】

 水越さんの論文は、2024年5月に成立した民法等改正法により導入された共同親権制度を踏まえて、その社会的な意義や課題について考察するものであり、個別の論点についてよく整理して検討が加えられております。また、その課題解決に向けて私見を提示しようとする姿勢も評価することができる点であります。ただし、「はじめに」において、「法律条文の追加という観点でアプローチしていく」と述べていながら、法律学的な考察が必ずしも十分になされていない点が残念でありました。制度の概要や条文、各国の親子法制の調査結果などは、法務省のホームページにおいて公表されておりますので、まずこれらの各種の資料を検討した上で論じられていたならば、より優れた論文になったものと思われます。

 石見さんの論文は、日本の人口減少問題の概要を把握した上で、その対策としての難民・移民の受入れ対策について、諸外国との比較において論じられており、全体としてのよくまとまった論文として評価できるものであります。ただし、論文の内容は、日本の人口減少問題というより、難民の受入れ問題の方に比重が置かれていたため、むしろ難民問題に特化して考察を掘り下げた方がよかったように思われました。また、この分野の研究は、著書、論文が多数あるにもかかわらず、ほとんど参照されていないため、論旨の説得力が必ずしも十分なものとなっていない点、最後の政策提言において、日本の人口減少対策への諸外国からの示唆として4点あると述べていながら、実際には2点しか検討されていない点なども、残念に思われました。

 

2.審査結果

(1)最優秀論文賞:該当なし

(2)優秀論文賞:該当なし

(3)奨励賞: 2件

  水越 聖七(法律学科2年)

  石見 梨々花(消費情報環境法学科3年)

(4)参加賞:応募者全員