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中国都市計画の調査団への研究支援を実施しました

レポート

 本年8月4日から10日にかけて実施された中国の都市計画の専門家による調査に,本学部の鍛冶智也教授が全面的な調査・研究の支援をいたしました。本調査団は,上海の同済大学建築・都市計画学院の教授を中心に構成されています。同済大学は中国の「双一流」の国家重点大学の一つに列せられ,特に建築・都市計画学院は,北京の清華大学建築学院と並び称される名門学院でもあります。本学部の毛桂榮教授は,同済大学のキャンパスにほど近いところにキャンパスを構える,同じく超がつくほどの名門大学である復旦大学の卒業生でもあるのですが,来日初日に調査団と懇談し,学術交流を深めることができました。

 都市計画という学問分野は,日本の他,主に旧共産圏の国々の大学では工学部などいわゆる理系の学問として捉えられていますが,欧米の多くの国々では政策分野の社会科学の一つとして考えられ,文系の位置づけとなっており,国際的には政治学や行政学との親和性も高い分野です。都市計画の学者の調査団を政治学科の学者が受け入れるということは,欧米流には不自然ではありません。

 今回,日本の「国際卓越研究大学」に相当する中国政府の研究補助金を利用して,一週間の調査期間で,東京圏の12の事業地域を訪問し,調査を行いました。1966年に事業着手された多摩ニュータウンや1970年に造成開始された千葉ニュータウンなど,大都市近郊で高度成長期に宅地開発された地域を中心に訪問調査を実施しましたが,今日ではそれぞれ「地域再生」や「用途変更」が謳われ,事業開始から半世紀近く経った現在,当初の都市計画案とは異なった展開をみせております。日本,とりわけ東京大都市圏の住宅政策は,現在のところ課題先進地域でもあり,中国の大都市地域も同じ経路を辿りつつある側面もあるようで,極めて熱心にレクチャーやフィールドワークに取り組まれていました。

 高名な教授たちの他,将来を担う博士課程の学生も帯同して調査に加わっており,直ちに調査論文の執筆が始まったという報に接して,今回の調査が教育上の意義の他に,次世代への学問的継承と発展も担っていると感じ,高等教育機関たる大学が担う社会的意義を再認識した機会でもありました。

多摩ニュータウンにて

千葉ニュータウンにて