担当科目

【担当科目】民法総則2、契約法の基礎、契約法1、物権法1、不動産特別法、消費者取引特別法3
【オフィスアワー】毎週金曜日12:25~13:25、場所:研究室(メールにて要予約)

【不動産特別法の授業概要】不動産取引は、主として、土地の売買と建物の建築請負、土地と建物の売買、土地の賃貸借、建物の賃貸借が想定される。売買・請負・賃貸借は、契約法の典型契約として学習するものであるが、実際の場面では民法が想定する内容以上により複雑な様相を呈している。それは、不動産という取引対象が、永久の財産であり、限られた財産であるという点において、それ以外の動産とは大きく異なる特殊性を有しているからである。そして、このような不動産の特殊性が、特有の法的論点を提起してくるのである。本講義では、まず、不動産の特殊性について検討し、その上で、個別の法的論点についての最近の判例法や特別法を検討する。

専攻・研究分野

民法、不動産法

最近の研究テーマ

不動産賃貸借法制:日本法とイギリス法との比較法研究
区分所有法性:日本法とイギリス法・アメリカ法との比較法研究

主な発表論文・著書

主要学術論文
  • 「最近の更新料判決と不当条項規制」市民と法66号(2010年12月)
  • 「区分所有者団体の法的性質と対外的効力」明治学院大学法科大学院ローレビュー11号(2009年12月)
  • 「営業用建物賃貸借における法的課題」『丸山英気先生古希記念論文集 マンション学の構築と都市法の新展開』所収(2009年1月・プログレス)
  • 「欠陥マンションに対する買主保護をめぐる最近の動向」(2009年1月・不動産研究51巻1号)
  • 「都市景観をめぐる紛争と法―私法と公法の役割と限界」『借地借家法の改正・新景観法』(土地問題双書37)所収(2006年4月・有斐閣)
  • 「イギリス区分所有法の管理制度の考察『稲本洋之助先生古稀記念論文集 都市と土地利用』所収(2006年3月・日本評論社)
  • 「都市景観の保全と法システム―国立マンション訴訟を契機として―」(2003年10月・松山大学論集第15巻第4号)
  • 「区分所有建物の法律構成に関する一考察―イギリス法との比較法的考察―」(2001年11月・マンション学第12号)
  • 「区分所有建物の再生に関する法的課題―イギリス法との比較法的考察―」(2001年10月・不動産研究第43巻第4号)
  • 「イギリス定期借地制度の基本問題と現代的展開(一)(ニ・完)」(1999年8月・民商法雑 誌第120巻第4・5号)(1999年9月・民商法雑誌第120巻第6号)
  • 「イギリス建物区分所有法の法的課題と改革」(1998年3月・ソシオサイエンス第4号)
  • 「19世紀末ロンドンにおける都市問題の法学的考察」(1997年3月・ソシオサイエンス第3号)
  • 「イギリスの都市における不動産賃借法の史的展開」(1997年3月・社会科学研究科紀要別冊創刊号)
主要判例研究
  • 「都市景観の私法的救済―国立の高層マンション訴訟控訴審判決―」(2005年8月・マンション学第22号)
  • 「地代自動改定特約と賃料減額請求権の行使の可否」(2004年12月・市民と法第30号)
  • 「住宅・都市整備公団値下げ販売事件」(2004年4月・マンション学第18号)
  • 「管理費等の滞納につき、「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するが、専有部分の使用禁止請求は認められないとされた事例」(2003年1月・ 不動産研究第45巻第1号)
  • 「老朽マンションにおける区分所有法62条所定の建替え決議の要件」(2002年1月・不動産研究第44巻第1号)
その他
  • 「イギリスの管理規約」マンション学41巻(2012年1月)
  • 「イギリスの区分所有建物における所有・管理方式について」日本不動産学会誌22巻4号(2009年3月)
  • 学界回顧「土地法」(2008年12月・法律時報80巻13号)
  • 学界回顧「土地法」(2007年12月・法律時報79巻13号)
  • 学界回顧「土地法」(2006年12月・法律時報78巻13号)

ゼミについて

テーマ

民法・土地住宅法の研究

概要

 2023 年度の演習では、「マンション法」についての考察を行う。
 現在のマンションストック総数は、約685.9 万戸(2021 年時点)あり、国民の1 割超がマンションに居住していると推計されている。そして、とりわけ都心部においては、マンションに住むことはごく一般的な状況であるといえる。都心部のマンションは、一般的に利便性や安全性などの面で優れており、多くの人がマンション居住を選択するのも当然なことのように思われる。
 しかし、マンションには、戸建てにはない難しさが存在する。マンションでは、常に管理組合による合意形成という課題がついて回るのである。マンションには、子どもの小さな若夫婦、年金暮らしの老夫婦、一人暮らしの高齢者など多様な属性の住民が存在している。そして、そのマンションでは、日常的な建物の維持管理や10 数年おきに実施される大規模修繕工事だけでなく、建物が老朽化したり被災したりしたときに行われる建替え・復旧・敷地売却などもすべて、このような利害状況がまったく異なる区分所有者間で話し合い、多数の合意を得て、意思決定をしていかなければならないのである。自分の
懐具合や人生のタイミングだけを考えて、これらのことを決めることはできないのである。マンションでの合意形成というものは、実は私たちが想像する以上に厄介な課題であるといえる。
 本演習では、このようなマンションの特性を踏まえて、マンションの問題を総合的に考察することを目的とする。マンションに関する法律を学ぶだけでなく、その法律が実際に生じている個別具体的な問題とどのように関係しているのかを学ぶ。そこで、本演習ではまず、今日のマンションにおいて具体的にどのような問題が生じているのかを知るために、基本的な文献を講読することから始める。その上で、区分所有法その他のマンション関連法の内容について学んでいく。そして、これらの基礎的な知識を踏まえて、個別テーマごとの論文や判例を検討し、ゼミ生同士のディスカッションを通じてさらに理解を深めていく。これにより、実際のマンション問題に対して、法的な観点から具体的な解決策を導き出せる理論的・実践的能力を養うことを目的とする。
 なお、本演習では、通常の開講時間(金曜4限を予定)の参加のほかに、2 泊3 日のゼミ合宿の参加(夏休みを予定してるが、新型コロナの感染状況により中止の可能性もある)および学期末のレポートの提出(8000 字)を単位取得の必須条件とする。

参考書

鎌野邦樹『マンション法案内〔第2 版〕』(勁草書房)、日下部理絵『60 歳からのマンション学』(講談社+α新書)ほか

ゼミ生の声

2024年度ゼミ生の声(白賀クロエ)