担当科目

【担当科目】民事法入門,物権法・債権総論・専門演習A(法曹コース),演習Ⅰ・Ⅱ
【オフィスアワー】毎週金曜日18:30~19:00、場所:研究室(メールで事前予約)
【民法の概要】民法は、市民相互間の基本的な法律関係を対象とします。物権法では、人と物の関わりを規律する法原理、所有権を中核とする各種物権・担保物権の内容について、また債権法では債権・債務の成立からその内容・効力・主体の変更、そして債権・債務の消滅について、講義します。

専攻・研究分野

民法、特に担保法(先取特権・抵当権・譲渡担保およびそれらの物上代位)と債権法(債権の譲渡担保、債権譲渡と相殺)および成年後見法制

最近の研究テーマ

・動産売主の代金債権の回収方法 (フランス法における動産担保法を中心として)

・先取特権の総合的研究

・抵当権の物上代位と債権譲渡

・担保物権の物上代位

・債権譲渡と債権の譲渡担保との関係

・債権譲渡と相殺

・成年後見制度(フランス法との比較)

主な発表論文・著書

【主要論文・著書】

①「動産売買先取特権による債権の優先的回収の再検討序説-フランスにおける動産売買先取特権制度の史的考察-」早稲田法学会誌45号(1995)

②「動産売買先取特権の『物上代位』のあり方に関する一考察(上・下)―最高裁平成一〇年一二月一八日決定を契機として―」法学志林99巻1号(2001)・3号(2002)

③「所有権に基づく物上代位に関する基礎的考察(一)―フランスにおける物上代位 subrogation réelle を手掛かりとして―」明法73号(2002)

④「請負契約・製作物供給契約と動産売買先取特権」下森定編集代表『現代民事法学の構想―内山尚三先生追悼―』(信山社、2004)

⑤「債権の譲渡担保と債権譲渡の関係に関する序論的考察--一括支払システム・代物弁済条項をめぐる二つの最高裁判例を契機として」明法78号(2005)

⑥「相殺の担保的機能に関する一考察―担保権(抵当権・動産売買先取特権)に基づく物上代位と相殺との優劣問題を契機として―」遠藤光男元最高裁判所判事喜寿記念『論集編―実務法学における現代的諸問題―』(ぎょうせい、2007)

⑦「フランス成年者保護制度にみる補助活用への示唆」実践成年後見27号(2008)

⑧「将来債権譲渡と流動債権の譲渡担保に関する考察-「流動財産担保」論の構築へ向けての提言-」小林一俊=高須順一編『債権法の近未来像(下森定先生傘寿記念論文集)』(酒井書店、2010)

⑨「フランス成年者保護法改正の意義と理念」新井誠=赤沼康弘=大貫正男編『成年後見法制の展望』(日本評論社、2011)

⑩「公共工事の前払金に関する信託終了による預金払戻請求権と破産債権との相殺可否―二つの高裁判決(福岡高判平成21・4・10および名古屋高裁金沢支判平成21・7・22)を素材として」トラスト60研究叢書『基礎法理からの信託分析』(公益財団法人トラスト60、2013)

⑪「所有権留保と倒産処理手続」明法101号(2016)

⑫「生活者金融における借主保護のあり方に関する考察―貸金債権の一括譲渡等に伴う譲受人への過払金返還債務の承継可否をめぐる判決群を素材として―」『早稲田民法学の現在』(浦川道太郎・内田勝一・鎌田薫先生古稀記念論文集)(成文堂、2017)

⑬「保証人の保護―その方策の拡充を中心として」安永正昭=鎌田薫=能見善久監修『債権法改正と民法学 債権総論・契約(1)』(商事法務、2018)

⑭道垣内弘人編『新注釈民法(6)―物権(3) 担保物権総論・留置権・先取特権・質権・抵当権(1)』有斐閣(2019)(先取特権の章)

⑮「抵当権の物上代位と相殺――改正民法の規律が物上代位の判例法理に及ぼす影響と相殺の担保的機能について」高須順一=山田創一=今尾真=明石真昭編著『民法学の伝統と新たな構想―宮本健蔵先生古稀記念』信山社(2022)

【判例評釈】

①「国税徴収法二四条と債権譲渡担保-一括支払システム代物弁済条項の対外効を中心として」ジュリスト1148号(1999)

②「請負工事に用いられた動産の売主による請負代金債権に対する動産売買先取特権に基づく物上代位の行使可否-最決平成10.12.18」法学教室226号(1999)

③「動産売買先取特権に基づく物上代位とその目的債権譲渡との優劣(最高裁平成一七年二月二二日第三小法廷判決)」法学教室306号別冊付録判例セレクト2005(2006)

④「流動集合動産譲渡担保の目的物に対する設定者の処分権限と『通常の営業の範囲内の処分』(最一小判平成18年7月20日民集60巻6号2499頁)」明治学院大学法科大学院ローレビュー8号(2008)

⑤「所有権留保における留保所有権者の義務および責任(最三小判平成21年3月10日民集63巻3号385頁)」法学教室353号別冊付録判例セレクト2009[Ⅰ](2010)

⑥「債権譲渡につき動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律四条一項の譲渡登記を経由した譲受人が、同条二項の通知がされなかったため、その後に第三債務者がした供託において被供託者として記載されていなかった場合と、右供託金の還付請求権の取得の可否(東京地判平成21年1月16日判時2040号26頁)」判例時報2040号(2010)

⑦「損害保険金債権に対する流動動産譲渡担保に基づく物上代位の可否(最一小決平成22・12・2民集64巻8号1990頁・判タ1339号52頁・判時2102号8頁・金判1362号25頁)」明法91号(2011)

⑧「保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合における主たる債務の消滅時効の中断」判例時報2232号(2014)

⑨「通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張できる場合―最三小判平成25・2・26民集67巻2号297頁」月刊登記情報51巻10号(2015)

⑩「95事件 管理者の債権に係る先取特権に基づく物上代位(東京高決平成22・6・25判タ1336号281頁、金法1912号107頁)」山野目章夫=佐久間毅=熊谷則一編『マンション判例百選』別冊ジュリスト259号(2022)

⑪「84事件 抵当権の物上代位⑵―債権譲渡との優劣(最高裁平成10 年1月30 日第二小法廷判決)」潮見佳男=道垣内弘人編『民法判例百選Ⅰ総則・物権(第9版)』別冊ジュリスト262 号(2023)

【教科書】

①青木博=新田孝二=比嘉正=福田清明=宮本健蔵=今尾真『民法入門』(嵯峨野書院、1998)

②後藤巻則=滝沢昌彦=片山直也編『プロセス講義 民法Ⅲ 担保物権』(第11章 譲渡担保(3)、債権譲渡担保、代理受領・振込指定)(信山社、2015)

③宮本健蔵編著『新・マルシェ物権法・担保物権法』(嵯峨野書院、2020)

④宮本健蔵編著『新・マルシェ債権総論〔第2版〕』嵯峨野書院(2023)(第5章 債権と債務の移転)

⑤今尾真=大木満=黒田美亜紀=伊室亜希子編著『フレッシャーズのための民事法入門〔第2版〕』成文堂(2020)

⑥宮本健蔵編著『新・マルシェ物権法・担保物権法』嵯峨野書院(2020)(第5章 第3節 先取特権および第8章 非典型担保の部分を執筆)

ゼミについて

テーマ

民法財産法(総則・物権・債権)における最新重要判例研究 ―判例を読み解き、真の法的思考力を獲得しよう!

概要

 2023 年度は、春学期は民法判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第 9 版〕(2023 年刊行予定)掲載の重要判例を素材として、総則・物権法総論について、1~2 年次の復習を行う。事件における法的問題を的確に抽出・把握する能力、紛争処理に際しての着眼点、解決策提示のための法的論理の組み立て方(法的思考法)、議論の展開の仕方などの力を養成する。ゼミでは、弁護士・裁判官・検察官・司法書士などの法曹志望者にとどまらず、企業法務・公務員などの広義の法曹を含む、法的知識・思考力をもって社会で活躍できる人材育成を行いたい。特に法科大学院進学・公務員試験・各種国家試験資格を目指す学生および 4 年生の参加も大いに歓迎する。
 秋学期は、春学期に培った能力を駆使して、債権総論・担保物権法の重要判例および発展的問題の解明に加え、ゼミ集大成として畑先生のゼミ(民訴)と合同討論会を行う(22 年度は中止)。また、法的思考力の民法以外の法律問題に応用する機会として、法学部主催の法律討論会への参加などの活動も行う予定である。
 また、ゼミ合宿については、2020~22 年度はコロナ禍の影響により実施できなかったが、2023 年度は、今尾ゼミ恒例の定期戦として、今尾ゼミ OB の宮崎産経大の明石真昭准教授のゼミと合同ゼミ合宿を何とか復活開催したい(場所は今のところ未定。東京か明石ゼミの本拠地、風光明媚な九州に遠征しての開催を検討中)。
 ♣♤ゼミの醍醐味親睦面♡♢ 勉強のみならず、ゼミ生間の親睦活動(飲み会、ゼミ合宿、その他各種イベント開催・参加)・ゼミ OB と現役ゼミ生との交流(3 年生と 4 年生との交流や OB がゼミに参加および毎年 5 月に OB 会開催〔ゼミは来年度で 26 期生を迎える〕。院生や OB・OG が随時ゼミや懇親会・合宿に参加して様々な指導やアドバイスを行っている)にも重点を置いて、ゼミを一生に亘る仲間作り、多様・多彩な人脈作りの場としたい。“勉強するときはしっかりやる、遊ぶときはしっかり遊ぶ”をモットーに、大いに盛り上がるゼミを行いたい。

参考書

「民法判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第 9 版〕」別冊ジュリ 262 号 263 号(有斐閣、2023 年刊行予定)。なお、ゼミ選考・ゼミ生確定後、素材とする判例書誌情報を事前に指示する。

ゼミ生の声