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教員インタビュー

STORY

広い世界の多様な価値観を肌で感じてほしい。

グローバル法学科所属

しん みほ
京都大学法学部卒業、同大学法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。京都大学助手、財団法人知的財産研究所特別研究員、特許庁勤務を経て現職。専門は国際私法、国際民事手続法、国際取引法。

広い世界で、多様な価値観を肌で感じる

私が「国際」「グローバル」的なものを初めて意識したのは中学生の頃でした。父の仕事の関係でアメリカとフランスに1年間滞在した時のことです。この2カ国をはじめ、周辺の沢山の国を訪れて感じたのは、文字通り“世界は広い”ということ。世界には様々な国が、社会が、文化が、歴史があります。日本とは相容れない価値観や考え方もあります。そしてもちろん、ルール(法)も国ごとに違っています。世界を肌で感じたこの経験は、子供心に強烈なインパクトを残しました。

「国際的な問題」は、個人にも起こりうる。

京都大学に入学して3年目、専門科目の授業が増えてきたとき、講義名に「国際」とつく授業を片っ端から受講していました。漠然とではありましたが、これからの時代は「国際化」が鍵になる、「国際化」に対応できる人間にならなければいけない、そう思っていたからです。その中で出会ったのが「国際私法」でした。国際私法とは、国際結婚などの複数の国に関係するような法律関係について、どの国の法を適用するかを決める法律です。たとえば日本人男性のAさんとフランス人女性のBさんがドイツで出会って結婚したいと思ったら、いったいどこの国の法に従って結婚すれば良いでしょうか。こんな問題を考えるのが国際私法です。「国際的な問題」といえば国と国の問題を連想しがちですが、個人レベルでも国際的な問題は起こりうること、そしてそれを解決するための法律があることを知って、大きな衝撃を受けたと同時に、それまでの自分の経験に照らして、とても腑に落ちたことを覚えています。この国際私法の世界にぐんぐん引き込まれ、もっと学んでみたい!と思ったのが研究者を志したきっかけでした。

異文化理解を伴った英語コミュニケーション能力と、法的知識が活きる時代になる

ところで学生時代、京都に住んでいたとき、よく外国人観光客の方に声を掛けられ、いろいろな質問を受けました。海外在住経験もあって、英語はある程度話せるつもりでいましたが、困惑することも少なからずありました。日本文化についての知識やそれに対応した英語のボキャブラリーに欠けていたために、彼らの質問に答えるのがとても難しかったからです。「temple(寺)とshrine(神社)の違いって?」「わびさびって何?」など・・・。素朴でも説明に四苦八苦する質問が多く、声を掛けられるたびに少し緊張したことをよく覚えています。

グローバル法学科の強みの一つに、異文化理解を1つの柱として挙げていることがあると思います。言語としての英語が話せるだけではコミュニケーションには十分ではありません。異文化と自文化の双方についての理解と、それを説明できる表現力・説明力が必要です。「だったら法学部でなくてもイイじゃん」と思うかもしれませんが、法を学ぶことも、実は異文化理解に通じるものがあるように思います。法は、それぞれの国の社会的・文化的・歴史的背景を色濃く反映しているものですから。加えて、法学部って難しそうだし、公務員を目指す人ぐらいしか縁が無い、なんて思っている人が多いと聞きますが、自分と関係が無いなんてとんでもない!法は、身近な人とのトラブル解決から、大がかりなビジネスまで、あらゆる人・現代社会のあらゆる仕組みに係わるものです。異文化に対する理解を伴った英語コミュニケーション能力と、法的知識。これらを併せ持った人材は、これからの時代に必ず求められる人材になる、私たちはそう確信してこのグローバル法学科を作りました。

いまや「国際化」「グローバル化」の波はとどまるところを知りません。とくに最近は、インターネットの発達で、自分が移動しなくとも、簡単に外国と繋がることができるようになりました。こんな時代に、完全に一国内にとどまって生活することは、もはや不可能であるとすら言ってもよいでしょう。「国際化」は、目指すものではなく、否応なしに私たちが対応していかなければならない当然の前提なのです。この学科で、皆さんと一緒に世界にチャレンジしていくことを楽しみにしています。